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『お前だったか、私は、私は……』と胸をすって居ましたが、そのあいだも不思議そうに僕の顔を見て居たのです。僕は驚ろいて
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
破三味線やれさみせんを膝の横へ置いて、所在なげにいとを指ですり、幽かな音色をたてながら、お吉はじっと俯向いていたが
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は私の恩人についていろいろ想像をめぐらして見た。毒矢を使う上からはこの島の土人に相違ない。しかし私をすった時の嫋かな手付きを考えて見るに男のようには思われない。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
陣刀、鎧櫃よろいびつ胡簶やなぐいなどを、いかめしく飾った大床を背にし、脇息にもたれている兄六郎の、沈思する顔を見守りながら、舎弟の七郎は色白下膨しもぶくれの、穏かな顔を少しひそめて火桶の胴をすっていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「叩かれると犬はいて来る。すると犬は喰らいつく。……」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一方の岩壁を掌ですり、奥へ奥へと走って行った。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)