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障
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さ
ふりがな文庫
“
障
(
さ
)” の例文
彼は宵のユスリの旨く行かなんだを猶だ気に
障
(
さ
)
えて居るのか、顔の柔和さに比べては何となく不機嫌である、話に釣り込れようとはせぬ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そういいながら葉子は少し気に
障
(
さ
)
えたらしく、炭取りを引き寄せて
火鉢
(
ひばち
)
に火をつぎ足した。桜炭の火花が激しく飛んで
二人
(
ふたり
)
の間にはじけた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人気も
穏
(
おだやか
)
なり、積んだものを見たばかりで、鶴谷様御用、と札の建ったも
同一
(
おなじ
)
じゃで、誰も手の
障
(
さ
)
え
人
(
て
)
はござりませぬで。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
申上げるかも知れませんけれど、お気に
障
(
さ
)
へては困りますの。
然
(
しか
)
し、
御酒
(
ごしゆ
)
の上で申すのではございませんから、どうぞそのお
意
(
つもり
)
で、
宜
(
よろし
)
うございますか
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
気に
障
(
さ
)
へましたのですか昨日午後ふいと外出致しまして、夕方
晩
(
おそ
)
くお酒をいたゞいて帰つて参りましたがそれきり
碌
(
ろく
)
に口もきかないで
寝
(
やす
)
んでるのですよ。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
▼ もっと見る
養母はその時、青柳にその時々に貸した金のことについて、養父から不足を言われたのが、気に
障
(
さ
)
わったと云って、大声をたてて良人に
喰
(
く
)
ってかかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
実は眼に
障
(
さ
)
える何物もないのであります。骨の中の髄漿と申しましょうか、
明瑩々
(
めいえいえい
)
、玲瓏そのものであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何か
怒
(
おこ
)
っているかも知れんが、怒るのは
向
(
むこう
)
が
悪
(
わ
)
るいからで、先方がおとなしくしてさえいれば一身上の便宜も充分計ってやるし、気に
障
(
さ
)
わるような事もやめてやる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
門左はひどく
癪
(
しやく
)
に
障
(
さ
)
へたらしかつたが、その折は唯笑つて済ました。それから二三日過ぎると、珠数屋あてに手紙を一本持たせてやつた。珠数屋は封を切つてみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「いや——気に
障
(
さ
)
えられては困る——もし、左様な女丈夫であったなら、某——命にかけても——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「気に
障
(
さ
)
えたら、詫びます、あやまります——今夜こそ、ゆっくりしていて——頼みますぞえ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
(取り
障
(
さ
)
ふる人なき宿には、三つ女錐こそ、揉み合ひなれ。あな広びろ、ひろきあなかな)
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
壁とは目を
障
(
さ
)
えぎり、視覚を覆うものの
所謂
(
いい
)
である。それを透して見んとする意志がかぎりなく働く。不自由と、必然を透して自由を得んとする努力、そこに芸術のもつ執拗性がある。
壁
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
夫
(
それ
)
がつひ
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
にて
言
(
い
)
ひたるなれど、
心
(
こゝろ
)
に
障
(
さ
)
はらば二
度
(
ど
)
とは
言
(
い
)
はじ、
汝
(
そなた
)
に
捨
(
すて
)
られて
我
(
わ
)
れ
何
(
なに
)
としてか
世
(
よ
)
には
立
(
た
)
つべき、
心
(
こゝろ
)
おさなければ
目
(
め
)
にあまることも
有
(
あ
)
らん、
腹立
(
はらたゝ
)
しきことも
多
(
さは
)
ならんが
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
障
(
さ
)
わるな障わるなという心持から、話をあらぬ方へ反らせたのであった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此の
度
(
たび
)
は又不思議な御縁で、以来は幾久しく何分にも御別懇に願います、此の者は眞葛周玄と申すが、只今
喰酔
(
たべよ
)
っておりまして失礼の事のみ申上げ甚だ相済まんが、
何卒
(
なにとぞ
)
お気に
障
(
さ
)
えられぬよう
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親睦会は出来るんです、実に気色に
障
(
さ
)
はりますけれどネ、教会の御祝だと思ふから忍んで参つたのです——其れはサウと、
老女
(
おば
)
さん、
篠田様
(
しのださん
)
は今日御見えになるでせうか、ほんとに、御気の毒で
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「気に
障
(
さ
)
えちゃいけないことよ、あの……」
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その晩、事務長が仕事を終えてから葉子の
部屋
(
へや
)
に来ると、葉子は何か気に
障
(
さ
)
えたふうをしてろくろくもてなしもしなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ただおかしいのはこの
閑人
(
ひまじん
)
がよると
障
(
さ
)
わると多忙だ多忙だと触れ廻わるのみならず、その顔色がいかにも多忙らしい、わるくすると多忙に食い殺されはしまいかと思われるほどこせついている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文「左様なら致し方がないが、どうかお気に
障
(
さ
)
えられて下さるな」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
言つて、気に
障
(
さ
)
へて貰つては困りますが、
先刻
(
さつき
)
の婦人に対するあなたの応対
振
(
ぶり
)
は、まだ十分とは言へなかつたやうですね、あの方は
此方
(
こつち
)
の出やうによつては、もつとお
需
(
もと
)
めになつたかも知れませんよ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その桜の木へ
障
(
さ
)
わったが、萩野は幹へ額をあてた。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこに行くとあまり融通のきかない監督では物足らない風で、彼を
対手
(
あいて
)
に話を拡げて行こうとしたが、彼は父に対する胸いっぱいの反感で見向きもしたくなかった。それでも父は気に
障
(
さ
)
えなかった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
障
(
さ
)
わったからじゃ。……殺されたのじゃ」
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自然は何かに気を
障
(
さ
)
えだしたように、夜とともに荒れ始めていた。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
繊手を延ばすと髪へ
障
(
さ
)
わり
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
障
常用漢字
小6
部首:⾩
14画
“障”を含む語句
障碍
支障
障子
障礙
故障
目障
罪障
破障子
手障
障子越
気障
戸障子
耳障
硝子障子
眼障
障害
罪障消滅
泥障
氣障
腰障子
...