)” の例文
その子供こどもたちは、みんながしたように、このさくらしたあそびました。さくらは、はるにはらんまんとして、はないたのであります。
学校の桜の木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかいたやうな……藤紫ふじむらさきに、浅黄あさぎ群青ぐんじやうで、小菊こぎく撫子なでしこやさしくめた友染いうぜんふくろいて、ぎんなべを、そのはきら/\とつてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一二月いちにがつころのような小枝こえだに、黄色きいろはなけたり、また蝋梅ろうばいのようにもっとはやゆきなかかをりたかくほこるものもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
うしをたべてしまった椿つばきにも、はなが三つ四ついたじぶんの海蔵かいぞうさんは半田はんだまちんでいる地主じぬしいえへやっていきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それと入れ代りに今度は、これらの畑で人工的に育て上げられた、さまざまな珍らしい花が、一どにどっとき出したものだから
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
大きなりっぱな木々は、まだ葉をつけてはいませんが、その下の地面じめんには、白、黄、青の、色とりどりの春の草花がいています。
お庭には、世にもめずらしい花がきみだれていました。なかでも、いちばん美しい花には、銀のすずがゆわえつけてありました。
紫陽花あぢさゐはなのだん/\調とゝのつてくありさまが、よくんであります。そのうへに、いかにも紫陽花あぢさゐてきした氣分きぶんてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
百合と薔薇ばらとを取りかへて部屋へやくらさをわすれてゐると、次ぎにはおいらんさうが白と桃色もゝいろくものやうに、庭の全面ぜんめんみだれた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
木小屋きごやまへにはいけがあつて石垣いしがきよこいてゆきしたや、そこいらにあそんではちかへるなぞが、とうさんのあそびにくのをつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今年ことしみたいに、紅白こうはくはながたんといたとしい。一面いちめんめるやうないろだ。どこへつても垣根かきねうへしゆ御血潮おんちしほ煌々ぴかぴかしてゐる。
おれも、あの市來知いちぎしりにある、野菊のぎくいてる母親マザーはかにだけはきたいとおもつてゐる。本當ほんたう市來知いちぎしりはいゝところだからなあ。』
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
けれど彼女は、むじゃきにいた野の花のよう、なんのおそれげもわだかまりもなく、あとのことばをさわやかにつづけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが風にらぐと、反射でなめらかながけの赤土の表面が金屏風きんびょうぶのようにひらめく。五六じょうも高い崖の傾斜けいしゃのところどころに霧島きりしまつつじがいている。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あんずやすももの白い花がき、ついでは木立こだちも草地もまっさおになり、もはや玉髄ぎょくずいの雲のみねが、四方の空をめぐころとなりました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
隣家となりける遲咲おそざききのはなみやこめづらしき垣根かきねゆきの、すゞしげなりしをおもいづるとともに、つき見合みあはせしはなまゆはぢてそむけしえりあしうつくしさ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私の方の実験室は、よくいえば雑草の乱れいたようなおもむきがある。むしろ普通にいえば埃溜ごみためのような実験室である。
実験室の記憶 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
消えもりたいおせんの風情ふぜいは、にわ秋海棠しゅうかいどうが、なまめきちる姿すがたをそのままなやましさに、おもてたもとにおおいかくした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いました。するとかきはずんずんのびて、大きな木になって、えだが出て、しげって、やがてはなきました。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
をんなかたほヽをよせると、キモノの花模様はなもやうなみだのなかにいたりつぼんだりした、しろ花片はなびら芝居しばゐゆきのやうにあほそらへちら/\とひかつてはえしました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
はすの花のいているときもあるし、ほたるの飛んだばんもあったし、こおりの上に雪のつもっているときもありました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
向い側の五六軒先にある果物屋が、赤や黄や緑の色がきこぼれていて、活気を見せた。客の出入りも多かった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
それで、ふなべりから手をのばして、水面すいめんに白くいているすいれんの花をむしってはすて、むしってはすてて、きそうになるのをがまんしていました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
僕は窓にぶらさがっているれタオルを彼女に取ってやって、一人ひとり窓の外の花のいたきりこずえを見上げた。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのあと、話は、そのころの思い出で、つぎからつぎに花がいた。共通の話題は、いつまでたってもつきなかった。次郎をのぞいては、だれもが雄弁ゆうべんだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かれうしてぐる/\とやとはれてあるきながら綺麗きれいはないてるのをるとたねもらつたり根分ねわけをしてもらつたりして庭先にはさきくりそば井戸端ゐどばたちかゑた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
終日懊悩おうのう。夕方庭をぶら/\歩いた後、今にも降り出しそうな空の下に縁台えんだいに腰かけて、庭一ぱいに寂寥さびしさく月見草の冷たい黄色の花をやゝ久しく見入った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すると、たちまち、その着物やくつや弓矢にまで、残らず、一度にぱっとふじの花がきそろいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
えんじゅの下の大きな水鉢みずばちには、すいれんが水面すいめんにすきまもないくらい、まるけて花が一りんいてる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
だって、格別かくべつ用事ようじもないのに、折角せっかく私達わたくしたちかしたはなえだごとったり、なにかするのですもの……。
雪隱せちいんわきには、紫陽花あじさゐの花がせひよろけてさびしくいてゐた。花の色はもうせかゝツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其夜そのよ詩集ししふなどいだして読みしは、われながら止所とめどころのなき移気うつりぎや、それ其夜そのよの夢だけにて、翌朝よくあさはまた他事ほかのこと心移こゝろうつりて、わすれて年月としつきたりしが、うめの花のくを見ては毎年まいとし
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
いろいろな紅や黄色の花が方々にどっさりいている。まぶしいようにあざやかな色をしている。
蝗の大旅行 (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
はる野路のぢをガタ馬車ばしやはしる、はなみだれてる、フワリ/\と生温なまぬるかぜゐてはなかほりせままどからひとおもてかすめる、此時このとき御者ぎよしや陽氣やうき調子てうし喇叭らつぱきたてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あしひきのやまさへひかはなりぬるごときおほきみかも 〔巻三・四七七〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「ほんとですわ。死んで花実はなみくものか……。コトやんが死んだのは、ごぞんじですか?」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ぽんおほきな薔薇ばらが、ほとんど其花園そのはなぞの中央ちゆうわうつてゐて、しろはないくつもそれにいてゐましたが、其處そこには三にん園丁えんていて、いそがはしげにそれをあか彩色さいしきしてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
秋の七種ななくさの歌は著名なもので、『万葉集』巻八に出て山上憶良やまのうえのおくらが咏んだもので、その歌は誰もがよく知っている通り、「秋のきたる花をおより、かき数ふれば七種の花」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
こひしいおひと、さよなら! このこひつぼみは、皐月さつきかぜそだてられて、またふまでにはうつくしうくであらう。さよなら/\! おまへむねにもわしむねにも、なつかしい安息あんそく宿やどりますやう!
つきすると、色々いろいろものあおくなりました。三つきすると、なかからはなきました。
書齋しよさいはしらにはれいごとにしきふくろれた蒙古刀もうこたうがつてゐた。花活はないけには何處どこいたか、もう黄色きいろはなしてあつた。宗助そうすけ床柱とこばしら中途ちゆうとはなやかにいろどるふくろけて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから談話はなしにはまた一段いちだんはないて、日永ひながの五ぐわつそらもいつか夕陽ゆうひなゝめすやうにあつたので、わたくし一先ひとま暇乞いとまごひせんとをりて『いづれ今夜こんや弦月丸げんげつまるにて——。』とちかけると
そこで「わたくしはオホヤマツミの神のむすめの花のくや姫です」と申しました。また「兄弟がありますか」とお尋ねになつたところ、「姉に石長姫いわながひめがあります」と申し上げました。
うめいて、紫色むらさきいろ雑木林ざふきばやしこずゑが、湿味うるみつたあをそらにスク/\けてえ、やなぎがまだあら初東風はつこちなやまされて時分じぶんは、むやみと三きやく持出もちだして、郊外かうぐわい景色けしきあさつてあるくのであるが
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
たとえば裏の竹藪たけやぶに蛇が出たとか、ひきが鳴いてるとか、ありの山が見つかったとか、うめの花が一輪いたとか、夕焼が美しく出ているとかいうようなことを、だれか家人の一人が発見すると
となり同士どうしだから、時々ときどきくちをききなかで、ことに一昨日おとといは、わたし丹精たんせいしたぼたんのはないたものですから、それを一鉢ひとはちわけてつてつてやり、にわでちよつとのうち、立話たちばなしをしたくらいです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
植ゑし植ゑばあきなきときかざらんはなこそらめさへれめや
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
晩ご飯にはおとうさんも帰ってきてまた話に花がいた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
なつがきてはないた、ちひさいほそ石竹せきちく釣鐘艸つりがねさう
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くれなゐ、——ゆるはなかめ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)