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指
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さ
ふりがな文庫
“
指
(
さ
)” の例文
しかしその麦畑の隅の、土手の築いてある側へ来ると、金三は急に良平の方へ笑い顔を振り向けながら、足もとの
畦
(
うね
)
を
指
(
さ
)
して見せた。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宝石商
(
ほうせきしょう
)
は、それから
幾日
(
いくにち
)
も
旅
(
たび
)
をしました。
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
え、
河
(
かわ
)
を
渡
(
わた
)
り、あるときは
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り、そして、
南
(
みなみ
)
の
国
(
くに
)
を
指
(
さ
)
して、
旅
(
たび
)
をつづけました。
宝石商
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
村「此の羽織はいけないのですがあのお金どんに、此の笄は詰らないのですがお前さんに上げるから私の形見と思って
指
(
さ
)
して下さい」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
顔の色いと青ざめて、
一四〇
たゆき
眼
(
まなこ
)
すざましく、我を
指
(
さ
)
したる手の青くほそりたる恐ろしさに、
一四一
あなやと叫んでたふれ死す。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
とでも言うらしく、河蒸汽に乗っていた仏蘭西人が岸本に船着場を
指
(
さ
)
して教えた。船着場から岸本の尋ねる家までは僅しかなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
黒板
(
こくばん
)
につるした大きな黒い
星座
(
せいざ
)
の図の、上から下へ白くけぶった
銀河帯
(
ぎんがたい
)
のようなところを
指
(
さ
)
しながら、みんなに
問
(
と
)
いをかけました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
班長はうなずいて、これから出発する望月大尉以下六名をさしまねいて、宇宙図を
指
(
さ
)
しながら、更にこまごました注意をあたえた。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
堀端
(
ほりばた
)
を西へ、東町奉行所を
指
(
さ
)
して進むうちに、跡部からの三度目の使者に行き合つた。本多と残して置いた同心とは途中で追ひ附いた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今
(
いま
)
や
我
(
わ
)
が
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
同
(
おな
)
じ
鍼路
(
しんろ
)
をば
故意
(
わざ
)
と
此方
(
こなた
)
に
向
(
むかつ
)
て
猛進
(
まうしん
)
して
來
(
く
)
るのである、一
分
(
ぷん
)
、二
分
(
ふん
)
、三
分
(
ぷん
)
の
後
(
のち
)
は
一大
(
いちだい
)
衝突
(
しようとつ
)
を
免
(
まぬ
)
かれぬ
運命
(
うんめい
)
※
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
と
叫
(
さけ
)
んで、
大音
(
だいおん
)
に
呵々
(
から/\
)
と
笑
(
わら
)
ふと
斉
(
ひと
)
しく、
空
(
そら
)
を
指
(
さ
)
した
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
へ、
法衣
(
ころも
)
の
裙
(
すそ
)
が
衝
(
つ
)
と
上
(
あが
)
つた、
黒雲
(
くろくも
)
の
袖
(
そで
)
を
捲
(
ま
)
いて、
虚空
(
こくう
)
へ
電
(
いなづま
)
を
曳
(
ひ
)
いて
飛
(
と
)
ぶ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ちょっとした
石瓦
(
いしかわら
)
のような仏様の
破片
(
かけ
)
でもあると必ず右へ
指
(
さ
)
して
廻
(
まわ
)
って行く。それは決して悪い事ではない。これには
因縁
(
いんねん
)
があります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
手作りの箱などを
指
(
さ
)
して樂しんだといふことは、この時代の空氣を知つて居る者には、何んの不自然さもなく
享
(
う
)
け容れられることでした。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「半殺しにして仕舞うのだ。この村の娘には、ほかの村の奴の指一本
指
(
さ
)
させないのが、昔からの
仕来
(
しきた
)
りだ。お前さんも知っているだろう」
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「その腰掛を持つて來なさい。」ブロクルハースト氏は、ちやうど級長が立ち上つたばかりの高い腰掛を
指
(
さ
)
して云つた。それは
運
(
はこ
)
ばれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
指
(
さ
)
されたところを読んでみると「モンテカルロの大勝」という
標題
(
タイトル
)
の下に、ウィンナムという英国の婦人が一夜のうちに二十万
法
(
フラン
)
勝ちあげ
黒い手帳
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
唯
(
たゞ
)
こゝに
斷
(
ことわ
)
りを
要
(
よう
)
することは
噴火
(
ふんか
)
といふ
言葉
(
ことば
)
の
使
(
つか
)
ひ
方
(
かた
)
である。
文字
(
もんじ
)
からいへば
火
(
ひ
)
を
噴
(
ふ
)
くとなるけれども、これは
燃
(
も
)
える
火
(
ひ
)
を
指
(
さ
)
すのではない。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ブラウンはある日客間で、彼にピアノを
指
(
さ
)
し示した。彼はぞっとしてピアノから顔をそむけた。あらゆる音が忌まわしかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
などという歌があるが、これは睡眠中の心理的動作を
指
(
さ
)
すもので、今日の学者といえども
捨
(
す
)
てがたい面白い
詞章
(
ししょう
)
であると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
二人でそこにある茶屋に休んだ時、兄さんはまた足の下に見える森だの谷だのを
指
(
さ
)
して、「あれらもことごとく僕の所有だ」と云いました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな
塩梅
(
あんばい
)
に児供の時分から少し変っていたので、二葉亭を可愛がっていた
祖母
(
おばあ
)
さんは「この子は
金鍔
(
きんつば
)
指
(
さ
)
すか
薦
(
こも
)
被
(
き
)
るかだ、」
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さればピッカルダはかく語りて絶對の意志を
指
(
さ
)
し、我は他の意志を指す、ふたりのいふところ倶に
眞
(
まこと
)
なり。 一一二—一一四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
變りし世は
隨意
(
まゝ
)
ならで、
指
(
さ
)
せる都には得も行き給はず、心にもあらぬ落髮を
逐
(
と
)
げてだに、相見んと
焦
(
こが
)
れ給ふ妻子の恩愛は如何に深かるべきぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
けれども二人がそこの広場にきた時、まっくらな大きな建物の正面の
燈火
(
あかり
)
のついた四つの長い窓を、町人は彼に
指
(
さ
)
し示した。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
自分の
入
(
はい
)
って来たのを見て、いきなり
一人
(
ひとり
)
の水兵が水雷長万歳と叫ぶと、そこらにいた者一斉に立って自分を取り巻き、かの大杯を
指
(
さ
)
しつけた。
遺言
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
厭々
(
いやいや
)
であったが、持物といっては金属性の球だけをポケットにして、
饒舌
(
おしゃべり
)
なAや
気難
(
きむずか
)
し屋なBと共々打ち連れて、先ず都を
指
(
さ
)
して旅にのぼった。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
閑
(
かん
)
中の
余技
(
よぎ
)
として
樂
(
たの
)
しむ
僕達
(
ぼくたち
)
の
棋戰
(
きせん
)
でさへ負けては
樂
(
たの
)
しからず、
惡
(
あく
)
手を
指
(
さ
)
したり
讀
(
よ
)
みの不足で
詰
(
つ
)
みを
逸
(
いつ
)
したりした時など
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そしてこのネツコグサは、ネコグサの意で、オキナグサを
指
(
さ
)
している。花に白毛が多いので、それで猫草といったものだ。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
英国の
俚諺
(
りげん
)
に、三月は獅子のように来り、子羊のごとく去るというは、初め厳しく冷ゆるが、末には温かになるを
指
(
さ
)
す。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
王子はまた
夢
(
ゆめ
)
からさめたような
気持
(
きもち
)
で、
老人
(
ろうじん
)
の
顔
(
かお
)
を
眺
(
なが
)
めました。それから、うしろの方の一番高い山の
頂
(
いただき
)
を
指
(
さ
)
しました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
政吉 何をいやがる高山の御用聞きは、とうの昔に横に切れて、木曾の
中津川
(
なかつがわ
)
指
(
さ
)
して飛んで行った。おなかさんお前も見て知ってるじゃあねえか。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
そうして町なかにある仁丹の看板をみつけては一人でそれを
指
(
さ
)
して「お父うちゃん」と言ってばかりいるので、母たちも随分
手古摺
(
てこず
)
ったらしい。……
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
契沖は、「我が背子」を「御供ノ人ヲサシ給ヘリ」といったが、やはりそうでなく御一人をお
指
(
さ
)
し申したのであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
與吉
(
よきち
)
はそれが
欲
(
ほし
)
くなれば
小
(
ちひ
)
さな
手
(
て
)
で
煤
(
すゝ
)
けた
籰棚
(
わくだな
)
を
指
(
さ
)
した。
其處
(
そこ
)
には
彼
(
かれ
)
の
好
(
この
)
む
砂糖
(
さたう
)
の
小
(
ちひ
)
さな
袋
(
ふくろ
)
が
載
(
の
)
せてあるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
アイヌが
指
(
さ
)
してコロボックルの
遺跡
(
ゐせき
)
なりとするものは何れも竪穴にして、
其廣
(
そのひろ
)
さは疊二枚敷より五十
枚敷位
(
まいじきぐらゐ
)
に至り
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
この怪人は
四肢
(
しし
)
に指がなかったともあるが、天を
指
(
さ
)
したというからは甚だ信じがたい事であった。それからまた三十年余り、寛永十九年の春であった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
われ。ララにはあらずや。この答はわが姫の目を閉ぢたるを見し時、心に浮びし人を
指
(
さ
)
して言へるのみなりしに、
期
(
ご
)
せずして
中
(
あた
)
りしなり。姫。さなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ついで路地の出入口を
記
(
き
)
し、その分れて那辺に至り又那辺に合するかを説明すること、
掌
(
たなごころ
)
を
指
(
さ
)
すが如くであった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
施無畏とは、
無畏
(
むい
)
を施すということで、元来、仏さまのことを一般に施無畏と申しますが、ここでは観音さまを
指
(
さ
)
すのです。
畏
(
い
)
とは恐れるという字です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
江戸ではその分業が一々
際立
(
きわだ
)
って、店の仕事が
多忙
(
いそが
)
しいとまでは行かないが、中古から(徳川氏初期からを
指
(
さ
)
す)京都の方では非常に盛大なものであった。
幕末維新懐古談:08「木寄せ」その他のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
眼下の松輪崎の前面をば戦闘艦だか巡洋艦だか大きなのが揃つて四隻、どす黒い煙を吐いて湾内を
指
(
さ
)
してゐる。
岬の端
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「俺ならどうした。女だって
活物
(
いきもの
)
だ、なぜその日に困らねえようにしておいてやらねえ。食わせりゃこっちが飼主よ、指でも
指
(
さ
)
しやがると承知しねえぞ!」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「怎麼に黄金丸、
彼処
(
かしこ
)
を見ずや。松の幹に攀らんとして、
頻
(
しき
)
りにあせる一匹の猿あり。もし彼の黒衣にてはあらぬか」ト、
指
(
さ
)
し示せば黄金丸は眺めやりて
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
『
何卒
(
どうぞ
)
閣下
(
かくか
)
是
(
これ
)
をお
召
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さい。』と、ニキタは
前院長
(
ぜんゐんちやう
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つて
丁寧
(
ていねい
)
に
云
(
い
)
ふた。『
那
(
あれ
)
が
閣下
(
かくか
)
のお
寐臺
(
ねだい
)
で。』と、
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
新
(
あたら
)
しく
置
(
おか
)
れた
寐臺
(
ねだい
)
の
方
(
はう
)
を
指
(
さ
)
して。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ヨーギ、
其処
(
そっ
)
から、どらんこ(煙草を入れる
佩嚢
(
どうらん
)
)持って来う。——ほして、
汝
(
にし
)
も少し休め。うむ、ヨーギ。」と一本の小さな栗の木を
指
(
さ
)
しながら言った。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
健吉は、後ろの
床脇
(
とこわき
)
の小壁を、眼で
指
(
さ
)
した。水引のかかったままの竹刀と、免許状の包みとが置いてあった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかして何んとその針は十貫目を
指
(
さ
)
してピタリと
止
(
とま
)
ったのだ、私はこれはあまりだと思って、二、三度強く足踏みをして見たが、何の反応もなかった、とうとう
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
折柄
(
おりから
)
の
上潮
(
あげしお
)
に、
漫々
(
まんまん
)
たる
秋
(
あき
)
の
水
(
みず
)
をたたえた
隅田川
(
すみだがわ
)
は、
眼
(
め
)
のゆく
限
(
かぎ
)
り、
遠
(
とお
)
く
筑波山
(
つくばやま
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
続
(
つづ
)
くかと
思
(
おも
)
われるまでに
澄渡
(
すみわた
)
って、
綾瀬
(
あやせ
)
から千
住
(
じゅ
)
を
指
(
さ
)
して
遡
(
さかのぼ
)
る
真帆方帆
(
まほかたほ
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
『
赤児
(
あかご
)
の
眼
(
め
)
』は
重瞳
(
ぢゆうどう
)
の三男を
指
(
さ
)
したのである。奥方は何と云ふ
罪障
(
つみ
)
の深い自分だらうと考へ出した。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
湯にしてやや冷を帯ぶるものを見、これを
指
(
さ
)
して水なりといい、水にして少しく熱を含むものを見、これを指して湯なりという、ここにおいて庸俗の徒ははなはだ惑う。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
僕の胸は宿題をなまけたのに先生に名を
指
(
さ
)
された時のように、思わずどきんと震えはじめました。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“指”の意味
《名詞》
(ゆび)手、または足の先に付いている、枝分かれした部分。
(出典:Wiktionary)
“指”の解説
指(ゆび)は、一般的に人間の身体の一部で、手や足の末端部にある突出部で、中に関節のある骨格を含む。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。相同な構造は四肢動物全般に見られ、四肢の形成の初期から存在する物である。
(出典:Wikipedia)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“指”を含む語句
指示
指環
食指
指弾
拇指
指輪
小指
目指
指折
指導者
指揮
指貫
屈指
示指
人指
無名指
指揮者
指定
指ヶ谷町
指差
...