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籰棚
「そんぢや
爺が
砂糖でも
嘗めろ」とおつぎは
與吉を
抱て
籰棚の
袋をとつた。
寡言な
卯平は
一寸見向いたきりで
歸つたかともいはない。
與吉はそれが
欲くなれば
小さな
手で
煤けた
籰棚を
指した。
其處には
彼の
好む
砂糖の
小さな
袋が
載せてあるのであつた。
お
品は
錢を
蒲團の
下の
巾着へ
入れた。さうして
籰棚からまるめ箱を
卸して三つの
白い
卵を
入れた。
以前は
此の
土地でも
綿が
採れたので、
夜なべには
女が
皆竹籰で
絲を
引いた。