“寡言”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むくち33.3%
かげん33.3%
かごん12.1%
ことばすくな6.1%
むつつり6.1%
くちすくな3.0%
くわげん3.0%
くわごん3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そんぢやぢい砂糖さたうでもめろ」とおつぎは與吉よきちだい籰棚わくだなふくろをとつた。寡言むくち卯平うへい一寸ちよつと見向みむいたきりでかへつたかともいはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
師は学生の頃は至って寡言かげんな温順な人で学校なども至って欠席が少なかったが子規は俳句分類に取りかかってから欠席ばかりしていたそうだ。
根岸庵を訪う記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
思想の懸隔に加えて、平生の寡言かごんのため、これらを言い出ずる機会もなく今日に至りしものにこれあり候。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寡言ことばすくなにして何事も内気なる浪子を、意地わるきね者とのみ思い誤りし夫人は、姉に比してややきゃんなるいもとのおのが気質に似たるを喜び、一は姉へのあてつけに
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
寡言むつつりで黒板に書いた字を讀めなどと言はれると、直ぐ赤くなつて、うつむいて、返事もせず石の如く堅くなつたものだ。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それで可成なるべく寡言くちすくなに、すきのない様に待遇あしらつてはゐるが、腑に落ちぬ事があり乍らも信吾の話が珍しい。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
君は寡言くわげんの人で、私も当時余り饒舌しやべらなかつたので、此会見はほとん睨合にらみあひを以て終つたらしい。しかしそれから後三十年の今に至るまで、津下君は私に通信することを怠らない。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼は、寡言くわごんな、そして恐らくは倨傲きよがうな人柄のやうに見えたが、私には、非常に親切であつた。ロザマンドの肖像畫が、大層彼を喜ばして、是非それを仕上げて欲しいと云ふのであつた。