“食指”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひとさしゆび57.9%
しょくし26.3%
くすりゆび5.3%
しよくし5.3%
ひとさし5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また鼻から出たにしたところで、鼻先から一尺四、五寸も前へ突出つきだした食指ひとさしゆびの上へ、豆粒程のおおきさだけポタリと落ちる道理はないのだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
右手の食指しょくしを口に突っこみ、ややうつ向き加減に戸によりかかって、体をゆすぶっている。ふだん次郎の眼にうつる俊三とはまるでちがう。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それから私はハンカチの上の両端を左右の拇指おやゆび食指くすりゆびでしっかりと摘んで、強く左右に引っぱって見たが、まだそんなに力を入れもしないうちにハンカチは何の苦もなくびりびりと裂けて
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
食指しよくしおほいに動くと云ふことばは彼等に適切である。食ひ終つた指は洗ふ代りに綺麗にめて仕舞しまふ。贅沢ぜいたく連中れんぢゆうは食後に青い椰子やしの実をなたいて核の中の水を吸ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
仰向の男は、空一面に彌漫はびこつて動かぬ灰雲の真中を、黙つてみつめて居る。螽の如く蹲んだ男は、平たい顔を俯向うつむけて、右手みぎ食指ひとさしで砂の上に字を書いて居る——「忠志ただし」と書いて居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)