トップ
>
鏽
>
さ
ふりがな文庫
“
鏽
(
さ
)” の例文
梅水は、以前築地一流の本懐石、江戸前の料理人が庖丁を
鏽
(
さ
)
びさせない腕を
研
(
みが
)
いて、吸ものの運びにも女中の
裙
(
すそ
)
さばきを
睨
(
にら
)
んだ
割烹
(
かっぽう
)
。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きを捩ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しはが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の聲して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問ふ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
あの美しい緑色は見えなくなって、
鏽
(
さ
)
びたひわ茶色の金属光沢を見せたが、腹の美しい
赤銅色
(
しゃくどういろ
)
はそのままに見られた。
さまよえるユダヤ人の手記より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
例えば大木の根を一気に抜き取る蒸気抜根機が、その成効力の余りに偉大な為めに、使い処がなくて、
鏽
(
さ
)
びたまゝ捨てゝあるのを旅行の途次に見たこともある。
北海道に就いての印象
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
なぜと云ふに折目が
鏽
(
さ
)
びてゐるからだ。多分釘は槌で打ち込む時折れたのだらう。折れながら打ち込まれて、頭の痕を窓枠の下の方に印するまで這入つたのだらう。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
▼ もっと見る
青
鏽
(
さ
)
びた小指ぐらいな銅像が三個、嵌め込まれている、日本山岳会員の名刺が三枚ほど
蔵
(
しま
)
われている、冠松次郎氏、中村有一氏、加山龍之助氏などで、去年又は本年の登山者である
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
聖母
(
マドンナ
)
の像の壁上より落ちぬればなり。否々、
鏽
(
さ
)
びたる釘はいづれの時か折れざらん。まことに我をして走り避けしめしものは、我脈絡中なる山羊の乳のみ、「ジエスヰタ」派學校の教育のみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
落葉を見れば、
片焦
(
かたこ
)
げて
鏽
(
さ
)
び赤らめるその
面
(
おもて
)
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
新開
(
しんかい
)
の
街
(
まち
)
は
鏽
(
さ
)
びて、色赤く
猥
(
みだ
)
るる屋根を
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
己もまだ
心
(
しん
)
まで
鏽
(
さ
)
びてしまってはいない。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きを
捩
(
ね
)
ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しはが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の声して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問ふ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それが青白くされ
鏽
(
さ
)
びて、あがった
鰻
(
うなぎ
)
を思わせるような無気味な
肌
(
はだ
)
をさらしてうねっていた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そのさざめきの間に、潮で
鏽
(
さ
)
び切った老船頭の幅の広い
塩辛声
(
しおからごえ
)
が高くこう響く。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鏽
(
さ
)
びて腐蝕しながらも、奉納白根大日如来寛政七年乙卯六月と読まれた、白峰赤石両山脈の頂で、山の荒神たちと離れられない関係があるらしい、鉄の槍身が、赤
錆
(
さ
)
びになって
仆
(
たお
)
れていた。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
巽は目を離して
指
(
ゆびさ
)
したが、宮歳の顔を見て、
鏽
(
さ
)
びた声して低く笑った。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鏽
(
さ
)
びてゆく
鉛
(
なまり
)
の
悔
(
くやみ
)
、しかすがに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
少女は
鏽
(
さ
)
びたる針金の先きをねじ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には
咳枯
(
しわが
)
れたる
老媼
(
おうな
)
の声して、「
誰
(
た
)
ぞ」と問う。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
槍は
鏽
(
さ
)
びても名は鏽びぬ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鏽
(
さ
)
びた鉄瓶、焼き接ぎの
痕
(
あと
)
のある皿なんぞが、それぞれの生涯の
ruine
(
ルユイイヌ
)
を語る。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鏽
部首:⾦
21画
“鏽”を含む語句
赤鏽
鏽斧
鏽銀
赤鏽色
金鏽
鏽声
鏽気
鏽渋
鏽花