彼男あのをとこ)” の例文
母と彼男あのをとことの間に、を高く頭の上に載せ、少許すこしづつ籾を振ひ落して居る女、あれは音作の『おかた』(女房)であると話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼男あのをとこも彼男なら、六左衛門も六左衛門だ。そんなところへ娘を呉れたところで何が面白からう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼男あのをとこ饒舌家おしやべりで、真個ほんたうに仕方が無い奴だ。』と独語ひとりごとのやうに言つた。やがて、銀之助は何か思ひついたやうに、『何ですか、勝野君は其様そんなに御寺へ出掛けたんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)