“あいつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アイツ
語句割合
彼奴80.8%
彼女7.4%
那奴2.4%
相踵1.7%
渠奴0.7%
相嗣0.7%
相続0.7%
彼僮0.3%
彼婦0.3%
彼小僧0.3%
(他:14)4.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「彼は恐れず悲しまず、従容しょうようとして死んで行った。とにもかくにも凡人ではない。……では彼奴あいつは預言者か?」
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かく「彼奴あいつは仁助という胡麻の灰でございますが、忰より年上だもんですから智慧を附けて、悪い者にしたのでございます」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、言う。私は「彼女あいつめ! 何処まで譃をくか。」と思って、ます/\心にいた女の箔がめた思いがした。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「いいえ。彼女あいつは毎晩、両親の吩付いいつけで直ぐ向うのなかに寝る事になっておりますので……」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「麦酒も松茸もございますから早くあれを還してお了ひなさいましよ。わたし那奴あいつが居ると思ふと不快いやな心持で」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「一向聞きませんな。那奴あいつ男を引掛けなくても金銭かねにはこまらんでせうから、そんな事は無からうと思ひますが……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
抽斎のあらわす所の書には、先ず『経籍訪古志』と『留真譜りゅうしんふ』とがあって、相踵あいついで支那人の手にって刊行せられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
昨年の秋あたりから、江戸の本草学者が神隠しに逢ったように、相踵あいついで行方不明になっております。
百姓は仰天ぎょうてんし、「飛んでもないこと、渠奴あいつのような大盗人に、百磅は愚か、一ペニーたりとも渡せるものか」と、始めはなかなか承知すべき気色けしきもなかったが、遂にカランの弁舌に説き落され、渋々ながら、彼の差図に任せて、一人の友人を証人に頼み、再び例の宿屋に行った。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「オイオイ姉さん、シャツを持ッてッとくれッてば……オイ……ヤ失敬な、モウいっちまッた。渠奴あいつ近頃生意気になっていかん。先刻さっきも僕ア喧嘩けんかして遣たんだ。婦人おんなの癖に園田勢子と云う名刺なふだこしらえるッてッたから、お勢ッ子で沢山だッてッたら、非常におこッたッけ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
地方に小さい団体の相嗣あいついで起るのは結構だが、それを一国の事業とするには、この孤立の弊を極力避けようとしなければならぬ。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「用箪笥の奥の隠し抽斗にあった、先代の遺言状——倅安之助の勘当を許し、岡崎屋の家督、相違なく相嗣あいつぐべきもの也——という直筆に判をしたのを破って捨てたのは誰だ」
したがって支那にも『淮南子』に神蛇自らその尾を断ち自ら相続あいつぐ、その怒りに触ればすなわち自ら断つ事刀もてつごとし、怒り定まれば相就あいついてもとのごとし。
小杉卓二と由紀子の結婚は、世に言う自由結婚で、旧弊な由紀子の両親の気に入らず、そのまま肉親との音信は絶えて居りましたが、一年前両親が相続あいついで亡くなった時は、自然妹との関係も昔に復して、由紀子はわざわざ北海道まで出かけ、久し振りの妹に逢ったりして居ります。
あゝ、彼僮あいつめは何處どこにをったぞ? 火酒しゃうちゅうてくりゃ。
「それも、彼婦あいつのためだ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めてあの小僧を欧州航路に雇傭チャータした郵船のバイカル丸が、ジブラルタルで独逸ハンのU何号かに魚雷ヤキイモわされた話は誰でも知っているでしょう。そん時に漂流端舟ながれボートい上ってハンカチを振ったのが彼小僧あいつのSOSの振出ふりだしだそうですがね。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……それから第二丹洋丸がスコタラ沖でエムデンにアッパーカットを喰わされた時も、あの小僧は丁度、新式救命機の着込み方のモデルにされていたところだったそうで、そのまんま飛込んで助かっちまったんだそうです。……まあ運のい奴といえばいえましょうが、彼小僧あいつの運がいたんびに船全体の運命がメチャメチャになるんだからかないません。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『……馬鹿です、彼弟あいつは』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうも彼輩あいつ不埒ふらちな奴じゃ、畢竟ひっきょう彼奴等あいつら虚言うそついて世の中を瞞着まんちゃくする売国奴ばいこくどだと云うような評判がソロ/\おこなわれて来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
手下あいつら云うじゃアございませんか、……ところがお殿様に承われば、そんなご命令はなかったとの事、やくざな奴らでございますよ
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「嘘だろう。ははあ分った。おめえはあの次席家老のせがれに突っつかれて、書物あいつを取り上げれや、おれがこんどの仕事に腰をつくだろうと、相談の上で、取りに来たんだな」
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいつは、僧侶そうりょどころか、ろくに人間さえったことはないだろう。誰もそれを見た者がないのだから。ふなやざこを取って喰っているのなら見たこともあるが」と。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
したがって支那にも『淮南子』に神蛇自らその尾を断ち自ら相続あいつぐ、その怒りに触ればすなわち自ら断つ事刀もてつごとし、怒り定まれば相就あいついてもとのごとし。
しかりといえども欧州諸国は、ゆるめばすなわち両軍相攻め、迫ればすなわち杖戟じょうげき相撞あいつくの勢いにしてほとんど立錐りっすいの閑地さえあらざるをもって、とうてい快活の運動を試みるあたわず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
手法の自由さと意図の奔放ほんぽうさに、褒貶ほうへん相半あいなかばしたが、その後相次あいついで含蓄の深い大曲を発表し、独特の魅力で反対者の口をかんしてしまった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
津田の頭に二つのものが相継あいついでひらめいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふと、演出にあたって、劇中の立女形たておやまふんするものを、路之助として、の意見、相背き、相衝あいついて反する時、「ふん、おれの情婦いろともしらないで。……何、人情がわかるものか。」と侮蔑されたら何とする?!……
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その後某は御先代妙解院殿よりも出格の御引立をこうむり、寛永九年御国替おんくにがえみぎりには、三斎公の御居城八代やつしろ相詰あいつめ候事と相成り、あまつさえ殿御上京の御供にさえ召具めしぐせられそろ
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
多分、手前らも見たことがあるだろう、鎖でめ殺されて、鳥がその周りに集ってる奴らを。しおで流されてゆくのを船乗が指してるんだ。『あれぁだれだい?』って一人が言う。『あれかい! ああ、あれぁジョン・シルヴァーさ。己ぁ被奴あいつをよく知ってたよ。』と別の奴が言う。
つまり豹一あいつは臆病なのだと、簡単に赤井は判断を下した。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
僕も三度ほどなやされたが、柔能く剛を制すで、高利貸アイスには美人が妙! 那彼あいつに一国を預ければすなはちクレオパトラだね。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)