トップ
>
髮
>
かみ
ふりがな文庫
“
髮
(
かみ
)” の例文
新字:
髪
昨夜
(
ゆうべ
)
は
夜
(
よ
)
もすがら
靜
(
しづか
)
に
眠
(
ねぶ
)
りて、
今朝
(
けさ
)
は
誰
(
た
)
れより
一
(
いち
)
はな
懸
(
が
)
けに
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
し、
顏
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
髮
(
かみ
)
を
撫
(
な
)
でつけて
着物
(
きもの
)
もみづから
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りしを
取出
(
とりいだ
)
し
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女同士
(
をんなどうし
)
はわあと
只
(
たゞ
)
笑
(
わら
)
ひ
聲
(
ごゑ
)
を
發
(
はつ
)
して
各自
(
てんで
)
に
對手
(
あひて
)
を
突
(
つ
)
いたり
叩
(
たゝ
)
いたりして
亂
(
みだ
)
れつゝ
騷
(
さわ
)
いだ。
突然
(
とつぜん
)
一人
(
ひとり
)
がおつぎの
髮
(
かみ
)
へひよつと
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此
(
こ
)
の
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
引拔
(
ひきぬ
)
かれますやうに……
骨身
(
ほねみ
)
に
應
(
こた
)
へるやうなんです……
蟲
(
むし
)
には
濟
(
す
)
まないと
存
(
ぞん
)
じながら……
眞個
(
ほんと
)
に
因果
(
いんぐわ
)
なんですわねえ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
現に、自分が今、
髮
(
かみ
)
を拔いた女などは、
蛇
(
へび
)
を四寸ばかりづゝに
切
(
き
)
つて干したのを、
干魚
(
ほしうを
)
だと云つて、
太刀帶
(
たてはき
)
の陣へ賣りに行つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『お
前
(
まへ
)
の
髮
(
かみ
)
は
刈
(
か
)
らなくッては』
帽子屋
(
ばうしや
)
は
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
さも
珍
(
めづ
)
らしさうに
愛
(
あい
)
ちやんを
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ましたが、
軈
(
やが
)
て
先
(
ま
)
づ
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
病人
(
びやうにん
)
はK
夫人
(
ふじん
)
の
顏
(
かほ
)
の
下
(
した
)
で、
小兒
(
こども
)
のやうに
顎
(
あご
)
で
頷
(
うなづ
)
いて
見
(
み
)
せた。
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
へ
一束
(
ひとたば
)
にした
髮
(
かみ
)
が、
彼女
(
かのぢよ
)
を一
層
(
そう
)
少女
(
せうぢよ
)
らしく
痛々
(
いた/\
)
しく
見
(
み
)
せた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
友伯父
(
ともをぢ
)
さんはもう十二
歳
(
さい
)
でしたから、そんな
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
の
子供
(
こども
)
のやうな
髮
(
かみ
)
をして行つて
東京
(
とうきやう
)
で
笑
(
わら
)
はれては
成
(
な
)
らないと、お
家
(
うち
)
の
人達
(
ひとたち
)
が
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
聞て重四郎
成程々々
(
なるほど/\
)
好氣味
(
よいきみ
)
なり然し此
儘
(
まゝ
)
斯
(
かう
)
しても置れまいと兩人
呟
(
つぶや
)
き居る折から此物音に驚きて
隱亡
(
をんばう
)
彌十
髭
(
ひげ
)
蓬々
(
ぼう/\
)
と
髮
(
かみ
)
振亂
(
ふりみだ
)
し手には
鴈投火箸
(
がんどうひばし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
黒
(
くろ
)
い
髮
(
かみ
)
に
油
(
あぶら
)
を
塗
(
ぬ
)
つて、
目立
(
めだ
)
つ
程
(
ほど
)
奇麗
(
きれい
)
に
頭
(
あたま
)
を
分
(
わ
)
けてゐた。さうして
今
(
いま
)
床屋
(
とこや
)
へ
行
(
い
)
つて
來
(
き
)
た
所
(
ところ
)
だと
言譯
(
いひわけ
)
らしい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、
或朝
(
あるあさ
)
早
(
はや
)
く
非常
(
ひじやう
)
に
興奮
(
こうふん
)
した
樣子
(
やうす
)
で、
眞赤
(
まつか
)
な
顏
(
かほ
)
をし、
髮
(
かみ
)
も
茫々
(
ばう/\
)
として
宿
(
やど
)
に
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
而
(
さう
)
して
何
(
なに
)
か
獨語
(
ひとりごと
)
しながら、
室内
(
しつない
)
を
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
へと
急
(
いそ
)
いで
歩
(
ある
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこで、
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
ひあげるときに
揷
(
さ
)
して、
笄
(
かうがい
)
を惜しまずやつたのであらうが、二三十年も前のことで、今日の錢湯風景を知らないから、なんともいへない。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
其
(
その
)
音
(
おと
)
が
寂寞
(
せきばく
)
を
破
(
やぶ
)
つてざわ/\と
鳴
(
な
)
ると、
閭
(
りよ
)
は
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
根
(
ね
)
を
締
(
し
)
め
附
(
つ
)
けられるやうに
感
(
かん
)
じて、
全身
(
ぜんしん
)
の
肌
(
はだ
)
に
粟
(
あは
)
を
生
(
しやう
)
じた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
入口
(
いりくち
)
の
彼方
(
あちら
)
は
長
(
なが
)
い
縁側
(
えんがは
)
で三
人
(
にん
)
も
小女
(
こむすめ
)
が
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
て
其
(
その
)
一人
(
ひとり
)
は
此方
(
こちら
)
を
向
(
む
)
き
今
(
いま
)
しも十七八の
姉樣
(
ねえさん
)
に
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
最中
(
さいちゆう
)
。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そして
男子
(
だんし
)
のものには、
身
(
み
)
に
甲胄
(
かつちゆう
)
をつけ
劍
(
つるぎ
)
を
佩
(
は
)
いてゐる
勇
(
いさ
)
ましい
形
(
かたち
)
をしたのがあり、
婦人
(
ふじん
)
の
像
(
ぞう
)
には、
髮
(
かみ
)
を
結
(
むす
)
びたすきをかけ、
何
(
なに
)
か
品物
(
しなもの
)
を
捧
(
さゝ
)
げてゐるようなのもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
山下先生に別れると、額にかかつてゐた
髮
(
かみ
)
をうしろへ
掻
(
か
)
きあげて、
豐富
(
ほうふ
)
な
髮
(
かみ
)
の毛が外にはみ出さぬ樣に丁
寧
(
ねい
)
に
帽子
(
ぼうし
)
をかむり石を
蹴
(
け
)
つてひよいと體を
浮
(
う
)
かしまた走り出した。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
尤も
髮
(
かみ
)
はさすがに武家風で、一刀を提げて居るのは、
嗜
(
たしな
)
みを忘れないためでせうか。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一通
(
ひとゝほ
)
りの
挨拶
(
あいさつ
)
終
(
をは
)
つて
後
(
のち
)
、
夫人
(
ふじん
)
は
愛兒
(
あいじ
)
を
麾
(
さしまね
)
くと、
招
(
まね
)
かれて
臆
(
をく
)
する
色
(
いろ
)
もなく
私
(
わたくし
)
の
膝許
(
ひざもと
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
つた
少年
(
せうねん
)
、
年齡
(
とし
)
は八
歳
(
さい
)
、
名
(
な
)
は
日出雄
(
ひでを
)
と
呼
(
よ
)
ぶ
由
(
よし
)
、
清楚
(
さつぱり
)
とした
水兵
(
すいへい
)
風
(
ふう
)
の
洋服
(
ようふく
)
姿
(
すがた
)
で、
髮
(
かみ
)
の
房々
(
ふさ/″\
)
とした
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あかつき
露
(
づゆ
)
に
髮
(
かみ
)
ぬれて、
徃
(
ゆ
)
きこそかよへ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
そなたの
額
(
ひたひ
)
は
栗色
(
くりいろ
)
の
髮
(
かみ
)
の
下
(
した
)
に悲しい。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
髮
(
かみ
)
皤
(
しろ
)
くきみ
老
(
お
)
いませり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
風俗
(
ふうぞく
)
も
派手
(
はで
)
でない、
女
(
をんな
)
の
好
(
このみ
)
も
濃厚
(
のうこう
)
ではない、
髮
(
かみ
)
の
飾
(
かざり
)
も
赤
(
あか
)
いものは
少
(
すく
)
なく、
皆
(
みな
)
心
(
こゝろ
)
するともなく、
風土
(
ふうど
)
の
喪
(
も
)
に
服
(
ふく
)
して
居
(
ゐ
)
るのであらう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
又
(
また
)
そつと
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てゝ
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
頸筋
(
くびすぢ
)
の
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
をこそつぱい
手
(
て
)
で
一攫
(
ひとつか
)
みにされるやうに
感
(
かん
)
じた。おつぎは
外
(
そと
)
の
壁際
(
かべぎは
)
の
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
脊負
(
せお
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鷄
(
にはとり
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
桐
(
きり
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
頭
(
あたま
)
をさげて
居
(
ゐ
)
る
友伯父
(
ともをぢ
)
さんの
方
(
はう
)
へ
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
ました。そして、
髮
(
かみ
)
を
刈
(
か
)
つて
貰
(
もら
)
つて
居
(
ゐ
)
る
友伯父
(
ともをぢ
)
さんの
側
(
わき
)
で
鳴
(
な
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
黒
(
くろ
)
く
多
(
おほ
)
き
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
最惜
(
いとを
)
しげもなく
引
(
ひき
)
つめて、
銀杏返
(
いてうがへ
)
しのこはれたるやうに
折返
(
をりかへ
)
し
折返
(
をりかへ
)
し
髷形
(
まげなり
)
に
疊
(
たゝ
)
みこみたるが、
大方
(
おほかた
)
横
(
よこ
)
に
成
(
な
)
りて
狼藉
(
らうぜき
)
の
姿
(
すがた
)
なれども
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
成程、死人の
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を拔くと云ふ事は、惡い事かも
知
(
し
)
れぬ。しかし、かう云ふ死人の多くは、皆、その位な
事
(
こと
)
を、されてもいゝ
人間
(
にんげん
)
ばかりである。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
その
)
油氣
(
あぶらけ
)
のない
硬
(
こは
)
い
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
が、
何
(
ど
)
ういふ
譯
(
わけ
)
か、
頭
(
あたま
)
の
眞中
(
まんなか
)
で
立派
(
りつぱ
)
に
左右
(
さいう
)
に
分
(
わ
)
けられてゐる
樣
(
さま
)
を、
絶
(
た
)
えず
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
浮
(
うか
)
べた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
それ
)
に
續
(
つゞ
)
いては
小體
(
こがら
)
な、
元氣
(
げんき
)
な、
※鬚
(
あごひげ
)
の
尖
(
とが
)
つた、
髮
(
かみ
)
の
黒
(
くろ
)
いネグル
人
(
じん
)
のやうに
縮
(
ちゞ
)
れた、
些
(
すこ
)
しも
落着
(
おちつ
)
かぬ
老人
(
らうじん
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
述
(
のべ
)
ければ先々
緩
(
ゆる
)
りと
安座
(
あんざ
)
して火に
煖
(
あた
)
り給へといふ吉兵衞は世にも
有難
(
ありがた
)
く思ひ火に
煖
(
あた
)
れば今まで氷たる
衣類
(
いるゐ
)
の雪も
解
(
とけ
)
て
髮
(
かみ
)
よりは
雫
(
しづく
)
滴
(
したゝ
)
り衣服は
絞
(
しぼ
)
るが如くなれば
彼
(
かの
)
男もこれを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
歩兵
(
ほへい
)
は
二人共
(
ふたりとも
)
、
其
(
その
)
縮
(
ちゞ
)
れた
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
に
殘
(
のこ
)
らず
火藥
(
くわやく
)
を
仕込
(
しこ
)
んで
居
(
ゐ
)
るやうに
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。
愛
(
あい
)
ちやんは
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
不思議
(
ふしぎ
)
で
堪
(
たま
)
らず、
森
(
もり
)
の
外
(
そと
)
に
這
(
は
)
ひ
出
(
だ
)
して、
聞
(
きこ
)
ゆる
事
(
こと
)
もやと
耳
(
みゝ
)
を
欹
(
そばだ
)
てました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
間
(
ま
)
もなく
這入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
たのは、一
人
(
にん
)
の
背
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い
僧
(
そう
)
であつた。
垢
(
あか
)
つき
弊
(
やぶ
)
れた
法衣
(
ほふえ
)
を
着
(
き
)
て、
長
(
なが
)
く
伸
(
の
)
びた
髮
(
かみ
)
を、
眉
(
まゆ
)
の
上
(
うへ
)
で
切
(
き
)
つてゐる。
目
(
め
)
に
被
(
かぶ
)
さつてうるさくなるまで
打
(
う
)
ち
遣
(
や
)
つて
置
(
お
)
いたものと
見
(
み
)
える。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
こよひは、
髮
(
かみ
)
のかかりばに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
髮
(
かみ
)
かたちなやましく
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
影
(
かげ
)
を
映
(
うつ
)
した
時
(
とき
)
でした……
其
(
そ
)
の
間
(
ま
)
に
早
(
は
)
や
用
(
よう
)
の
趣
(
おもむき
)
を
言
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かされた、
髮
(
かみ
)
の
長
(
なが
)
い、
日本
(
につぽん
)
の
若
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
の、
熟
(
じつ
)
と
見
(
み
)
るのと、
瞳
(
ひとみ
)
を
合
(
あは
)
せたやうだつたつて……
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蓬々
(
ぼう/\
)
と
解
(
と
)
けた
髮
(
かみ
)
へ
櫛
(
くし
)
を
入
(
い
)
れて
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
へ
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れた
時
(
とき
)
おつぎは
漸
(
やうや
)
く
蘇生
(
いきかへ
)
つたやうになる。それでも
目
(
め
)
はまだ
赤
(
あか
)
くて
態度
(
たいど
)
がふら/\と
懶相
(
だるさう
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それは
油氣
(
あぶらけ
)
のない
髮
(
かみ
)
をひつつめの
銀杏返
(
いてふがへ
)
しに
結
(
ゆ
)
つて、
横
(
よこ
)
なでの
痕
(
あと
)
のある
皸
(
ひび
)
だらけの
兩頬
(
りやうほほ
)
を
氣持
(
きもち
)
の
惡
(
わる
)
い
程
(
ほど
)
赤
(
あか
)
く
火照
(
ほて
)
らせた、
如何
(
いか
)
にも
田舍者
(
ゐなかもの
)
らしい
娘
(
むすめ
)
だつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
東京
(
とうきやう
)
をさして
學問
(
がくもん
)
に
行
(
ゆ
)
かうといふ
頃
(
ころ
)
の
友伯父
(
ともをぢ
)
さんも、
父
(
とう
)
さんも、まだ
二人
(
ふたり
)
とも
馬籠風
(
まごめふう
)
に
髮
(
かみ
)
を
長
(
なが
)
くして
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
御米
(
およね
)
の
勸
(
すゝめ
)
通
(
どほり
)
髮
(
かみ
)
を
刈
(
か
)
つた
方
(
はう
)
が、
結局
(
つまり
)
氣
(
き
)
を
新
(
あら
)
たにする
効果
(
かうくわ
)
があつたのを、
冷
(
つめ
)
たい
空氣
(
くうき
)
の
中
(
なか
)
で、
宗助
(
そうすけ
)
は
自覺
(
じかく
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
仕立
(
したて
)
かけの
縫物
(
ぬひもの
)
に
針
(
はり
)
どめして
立
(
た
)
つは
年頃
(
としごろ
)
二十餘
(
はたちあま
)
りの
意氣
(
いき
)
な
女
(
をんな
)
、
多
(
おほ
)
い
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
忙
(
いそが
)
しい
折
(
をり
)
からとて
結
(
むす
)
び
髮
(
がみ
)
にして、
少
(
すこ
)
し
長
(
なが
)
めな
八丈
(
はちぢやう
)
の
前
(
まへ
)
だれ、お
召
(
めし
)
の
臺
(
だい
)
なしな
半天
(
はんてん
)
を
着
(
き
)
て
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
寒風に
吹晒
(
ふきさら
)
され
髮
(
かみ
)
まで氷りて
針金
(
はりがね
)
の如くなれば
進退
(
しんたい
)
茲
(
こゝ
)
に極まりて兎にも角にも此處で
相果
(
あひはつ
)
る事かと思ふ
計
(
ばか
)
りなり時に吉兵衞
倩々
(
つら/\
)
思に
我
(
われ
)
江戸表
(
えどおもて
)
へ名のり出て事
露顯
(
ろけん
)
に及時は三尺
高
(
たか
)
き木の
上
(
そら
)
に
命
(
いのち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
唯
(
たゞ
)
二ヶ
月
(
げつ
)
に一
度
(
ど
)
丈
(
だ
)
け、
理髮師
(
とこや
)
のセミヨン、ラザリチ
計
(
ばか
)
り
此
(
こゝ
)
へ
來
(
く
)
る、
其男
(
そのをとこ
)
は
毎
(
いつ
)
も
醉
(
よ
)
つてニコ/\しながら
遣
(
や
)
つて
來
(
き
)
て、ニキタに
手傳
(
てつだ
)
はせて
髮
(
かみ
)
を
刈
(
か
)
る、
彼
(
かれ
)
が
見
(
み
)
えると
患者等
(
くわんじやら
)
は
囂々
(
がや/\
)
と
云
(
い
)
つて
騷
(
さわ
)
ぎ
出
(
だ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一人
(
ひとり
)
は
髮
(
かみ
)
の二三
寸
(
ずん
)
伸
(
の
)
びた
頭
(
あたま
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
して、
足
(
あし
)
には
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
は
)
いてゐる。
今
(
いま
)
一人
(
ひとり
)
は
木
(
き
)
の
皮
(
かは
)
で
編
(
あ
)
んだ
帽
(
ばう
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
足
(
あし
)
には
木履
(
ぽくり
)
を
穿
(
は
)
いてゐる。どちらも
痩
(
や
)
せて
身
(
み
)
すぼらしい
小男
(
こをとこ
)
で、
豐干
(
ぶかん
)
のやうな
大男
(
おほをとこ
)
ではない。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そそけの
髮
(
かみ
)
もみだれて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
みだれ
伏
(
ふ
)
す
姫
(
ひめ
)
の
髮
(
かみ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
ころ
柿
(
がき
)
のやうな
髮
(
かみ
)
を
結
(
ゆ
)
つた
霜
(
しも
)
げた
女中
(
ぢよちう
)
が、
雜炊
(
ざふすゐ
)
でもするのでせう——
土間
(
どま
)
で
大釜
(
おほがま
)
の
下
(
した
)
を
焚
(
た
)
いて
居
(
ゐ
)
ました。
番頭
(
ばんとう
)
は
帳場
(
ちやうば
)
に
青
(
あを
)
い
顏
(
かほ
)
をして
居
(
ゐ
)
ました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
長
(
たけ
)
なる
髮
(
かみ
)
をうしろに
結
(
むす
)
びて、
古
(
ふり
)
たる
衣
(
きぬ
)
になえたる
帶
(
おび
)
、
窶
(
やつ
)
れたりとも
美貌
(
びばう
)
とは
誰
(
た
)
が
目
(
め
)
にも
許
(
ゆる
)
すべし、あはれ
果敢
(
はか
)
なき
塵塚
(
ちりづか
)
の
中
(
なか
)
に
運命
(
うんめい
)
を
持
(
も
)
てりとも、
汚
(
きたな
)
き
垢
(
よご
)
れは
蒙
(
かうむ
)
らじと
思
(
おも
)
へる
身
(
み
)
の
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
すると、
老婆
(
らうば
)
は、松の木片を、床板の間に
挿
(
さ
)
して、それから、今まで眺めてゐた屍骸の首に
兩手
(
りやうて
)
をかけると、丁度、猿の親が猿の子の
虱
(
しらみ
)
をとるやうに、その長い
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を一本づゝ拔きはじめた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
顏
(
かほ
)
を
入違
(
いれちが
)
ひに、
肩
(
かた
)
に
前髮
(
まへがみ
)
を
伏
(
ふ
)
せた
方
(
はう
)
は、
此方
(
こちら
)
向
(
む
)
きに、やゝ
俯向
(
うつむ
)
くやうに
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
で
蔽
(
おほ
)
ふ、がつくりとしたれば、
陰
(
かげ
)
に
成
(
な
)
つて、
髮
(
かみ
)
の
形
(
かたち
)
は
認
(
みと
)
められず。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
目
(
め
)
つきの
凄
(
すご
)
くて
人
(
ひと
)
を
射
(
い
)
るやうなるも
威嚴
(
いげん
)
の
備
(
そな
)
はれるかと
嬉
(
うれ
)
しく、
濃
(
こ
)
き
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
短
(
みち
)
かく
刈
(
かり
)
あげて
頬足
(
ゑりあし
)
のくつきりとせしなど
今更
(
いまさら
)
のやうに
眺
(
ながめ
)
られ、
何
(
なに
)
をうつとりして
居
(
ゐ
)
ると
問
(
と
)
はれて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
氷嚢
(
ひようなう
)
や、
注射
(
ちうしや
)
より、たゞ
髮
(
かみ
)
の
冷
(
つめた
)
いのが、きつけに
成
(
な
)
つて、
幾度
(
いくたび
)
も、
甦
(
よみがへ
)
り、
甦
(
よみがへ
)
り、
甦
(
よみがへ
)
る
度
(
たび
)
に、
矢張
(
やはり
)
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
に、ちやんと
膝
(
ひざ
)
に
手
(
て
)
を
組
(
く
)
んで
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
萬
(
よろ
)
づに
淡々
(
あわ/\
)
しき
女子
(
おなご
)
心
(
こゝろ
)
を
來
(
き
)
て
搖
(
ゆ
)
する
樣
(
やう
)
な
人
(
ひと
)
の
賞
(
ほ
)
め
詞
(
ことば
)
に、
思
(
おも
)
はず
赫
(
くわつ
)
と
上氣
(
じやうき
)
して、
昨日
(
きのふ
)
までは
打
(
うち
)
すてし
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
つやらしう
結
(
むす
)
びあげ、
端折
(
はしおり
)
つゞみ
取上
(
とりあ
)
げて
見
(
み
)
れば、いかう
眉毛
(
まゆげ
)
も
生
(
は
)
えつゞきぬ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
髮
部首:⾽
15画
“髮”を含む語句
頭髮
白髮
御髮
下髮
黒髮
髮結床
髮結
丈長髮
毛髮
髮飾
散髮
斷髮
蓬髮
濡髮
髮剃
亂髮
襟髮
廂髮
前髮
有髮
...