かみ)” の例文
新字:
昨夜ゆうべもすがらしづかねぶりて、今朝けされよりいちはなけにさまし、かほあらかみでつけて着物きものもみづからりしを取出とりいだ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女同士をんなどうしはわあとたゞわらごゑはつして各自てんで對手あひていたりたゝいたりしてみだれつゝさわいだ。突然とつぜん一人ひとりがおつぎのかみへひよつとけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かみ引拔ひきぬかれますやうに……骨身ほねみこたへるやうなんです……むしにはまないとぞんじながら……眞個ほんと因果いんぐわなんですわねえ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現に、自分が今、かみを拔いた女などは、へびを四寸ばかりづゝにつて干したのを、干魚ほしうをだと云つて、太刀帶たてはきの陣へ賣りに行つた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『おまへかみらなくッては』帽子屋ばうしやしばらくのあひださもめづらしさうにあいちやんをながめてましたが、やがしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
病人びやうにんはK夫人ふじんかほしたで、小兒こどものやうにあごうなづいてせた。うへはう一束ひとたばにしたかみが、彼女かのぢよを一そう少女せうぢよらしく痛々いた/\しくせた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
友伯父ともをぢさんはもう十二さいでしたから、そんなやまなか子供こどものやうなかみをして行つて東京とうきやうわらはれてはらないと、おうち人達ひとたちひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
聞て重四郎成程々々なるほど/\好氣味よいきみなり然し此まゝかうしても置れまいと兩人つぶやき居る折から此物音に驚きて隱亡をんばう彌十ひげ蓬々ぼう/\かみ振亂ふりみだし手には鴈投火箸がんどうひばし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
安井やすゐくろかみあぶらつて、目立めだほど奇麗きれいあたまけてゐた。さうしていま床屋とこやつてところだと言譯いひわけらしいことつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と、或朝あるあさはや非常ひじやう興奮こうふんした樣子やうすで、眞赤まつかかほをし、かみ茫々ばう/\として宿やどかへつてた。さうしてなに獨語ひとりごとしながら、室内しつないすみからすみへといそいであるく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで、かみひあげるときにして、かうがいを惜しまずやつたのであらうが、二三十年も前のことで、今日の錢湯風景を知らないから、なんともいへない。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そのおと寂寞せきばくやぶつてざわ/\とると、りよかみけられるやうにかんじて、全身ぜんしんはだあはしやうじた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
入口いりくち彼方あちらなが縁側えんがはで三にん小女こむすめすわつてその一人ひとり此方こちらいましも十七八の姉樣ねえさんかみつてもら最中さいちゆう
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そして男子だんしのものには、甲胄かつちゆうをつけつるぎいてゐるいさましいかたちをしたのがあり、婦人ふじんぞうには、かみむすびたすきをかけ、なに品物しなものさゝげてゐるようなのもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
山下先生に別れると、額にかかつてゐたかみをうしろへきあげて、豐富ほうふかみの毛が外にはみ出さぬ樣に丁ねい帽子ぼうしをかむり石をつてひよいと體をかしまた走り出した。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
尤もかみはさすがに武家風で、一刀を提げて居るのは、たしなみを忘れないためでせうか。
一通ひとゝほりの挨拶あいさつをはつてのち夫人ふじん愛兒あいじさしまねくと、まねかれてをくするいろもなくわたくし膝許ひざもとちかすゝつた少年せうねん年齡としは八さい日出雄ひでをよし清楚さつぱりとした水兵すいへいふう洋服ようふく姿すがたで、かみ房々ふさ/″\とした
あかつきづゆかみぬれて、きこそかよへ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
そなたのひたひ栗色くりいろかみしたに悲しい。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かみしろくきみいませり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
風俗ふうぞく派手はででない、をんなこのみ濃厚のうこうではない、かみかざりあかいものはすくなく、みなこゝろするともなく、風土ふうどふくしてるのであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またそつとてゝとき頸筋くびすぢかみをこそつぱい一攫ひとつかみにされるやうにかんじた。おつぎはそと壁際かべぎは草刈籠くさかりかご脊負せおつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にはとりおどろいて、きりしたあたまをさげて友伯父ともをぢさんのはうんでました。そして、かみつてもらつて友伯父ともをぢさんのわききました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
くろおほかみ最惜いとをしげもなくひきつめて、銀杏返いてうがへしのこはれたるやうに折返をりかへ折返をりかへ髷形まげなりたゝみこみたるが、大方おほかたよこりて狼藉らうぜき姿すがたなれども
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
成程、死人のかみを拔くと云ふ事は、惡い事かもれぬ。しかし、かう云ふ死人の多くは、皆、その位なことを、されてもいゝ人間にんげんばかりである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その油氣あぶらけのないこはかみが、ういふわけか、あたま眞中まんなか立派りつぱ左右さいうけられてゐるさまを、えずまへうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それつゞいては小體こがらな、元氣げんきな、※鬚あごひげとがつた、かみくろいネグルじんのやうにちゞれた、すこしも落着おちつかぬ老人らうじん
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
のべければ先々ゆるりと安座あんざして火にあたり給へといふ吉兵衞は世にも有難ありがたく思ひ火にあたれば今まで氷たる衣類いるゐの雪もとけかみよりはしづくしたゝり衣服はしぼるが如くなればかの男もこれを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
歩兵ほへい二人共ふたりともそのちゞれたかみのこらず火藥くわやく仕込しこんでるやうにあいちやんはおもひました。あいちやんはなに不思議ふしぎたまらず、もりそとして、きこゆることもやとみゝそばだてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
もなく這入はひつてたのは、一にんたかそうであつた。あかつきやぶれた法衣ほふえて、ながびたかみを、まゆうへつてゐる。かぶさつてうるさくなるまでつていたものとえる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
こよひは、かみのかかりばに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
かみかたちなやましく
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かげうつしたときでした……ようおもむきかされた、かみながい、日本につぽんわかひとの、じつるのと、ひとみあはせたやうだつたつて……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蓬々ぼう/\けたかみくしれてつめたいみづれたときおつぎはやうや蘇生いきかへつたやうになる。それでもはまだあかくて態度たいどがふら/\と懶相だるさうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは油氣あぶらけのないかみをひつつめの銀杏返いてふがへしにつて、よこなでのあとのあるひびだらけの兩頬りやうほほ氣持きもちわるほどあか火照ほてらせた、如何いかにも田舍者ゐなかものらしいむすめだつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
東京とうきやうをさして學問がくもんかうといふころ友伯父ともをぢさんも、とうさんも、まだ二人ふたりとも馬籠風まごめふうかみながくしてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御米およねすゝめどほりかみつたはうが、結局つまりあらたにする効果かうくわがあつたのを、つめたい空氣くうきなかで、宗助そうすけ自覺じかくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
仕立したてかけの縫物ぬひものはりどめしてつは年頃としごろ二十餘はたちあまりの意氣いきをんなおほかみいそがしいをりからとてむすがみにして、すこながめな八丈はちぢやうまへだれ、おめしだいなしな半天はんてん
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寒風に吹晒ふきさらされかみまで氷りて針金はりがねの如くなれば進退しんたいこゝに極まりて兎にも角にも此處で相果あひはつる事かと思ふばかりなり時に吉兵衞倩々つら/\思にわれ江戸表えどおもてへ名のり出て事露顯ろけんに及時は三尺たかき木のそらいのち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たゞ二ヶげつに一け、理髮師とこやのセミヨン、ラザリチばかこゝる、其男そのをとこいつつてニコ/\しながらつてて、ニキタに手傳てつだはせてかみる、かれえると患者等くわんじやら囂々がや/\つてさわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。いま一人ひとりかはんだばうかぶつて、あしには木履ぽくり穿いてゐる。どちらもせてすぼらしい小男こをとこで、豐干ぶかんのやうな大男おほをとこではない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
そそけのかみもみだれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
みだれひめかみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ころがきのやうなかみつたしもげた女中ぢよちうが、雜炊ざふすゐでもするのでせう——土間どま大釜おほがましたいてました。番頭ばんとう帳場ちやうばあをかほをしてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たけなるかみをうしろにむすびて、ふりたるきぬになえたるおびやつれたりとも美貌びばうとはにもゆるすべし、あはれ果敢はかなき塵塚ちりづかなか運命うんめいてりとも、きたなよごれはかうむらじとおもへる
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると、老婆らうばは、松の木片を、床板の間にして、それから、今まで眺めてゐた屍骸の首に兩手りやうてをかけると、丁度、猿の親が猿の子のしらみをとるやうに、その長いかみを一本づゝ拔きはじめた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かほ入違いれちがひに、かた前髮まへがみせたはうは、此方こちらきに、やゝ俯向うつむくやうにむらさきそでおほふ、がつくりとしたれば、かげつて、かみかたちみとめられず。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つきのすごくてひとるやうなるも威嚴いげんそなはれるかとうれしく、かみみちかくかりあげて頬足ゑりあしのくつきりとせしなど今更いまさらのやうにながめられ、なにをうつとりしてるとはれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
氷嚢ひようなうや、注射ちうしやより、たゞかみつめたいのが、きつけにつて、幾度いくたびも、よみがへり、よみがへり、よみがへたびに、矢張やはりおなところに、ちやんとひざんでます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
よろづに淡々あわ/\しき女子おなごこゝろするやうひとことばに、おもはずくわつ上氣じやうきして、昨日きのふまではうちすてしかみつやらしうむすびあげ、端折はしおりつゞみ取上とりあげてれば、いかう眉毛まゆげえつゞきぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)