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兩頬
読み方 | 割合 |
りやうほほ | 50.0% |
りゃうほゝ | 25.0% |
りやうほゝ | 25.0% |
それは
油氣のない
髮をひつつめの
銀杏返しに
結つて、
横なでの
痕のある
皸だらけの
兩頬を
氣持の
惡い
程赤く
火照らせた、
如何にも
田舍者らしい
娘だつた。
おゝ、これが
電光と
言はれようか?……おゝ、
戀人よ!
我妻よ!
卿の
息の
蜜を
吸ひ
盡した
死神も、
卿の
艶麗さには
能い
勝たいでか、
其蒼白い
旗影はなうて
美の
旗章の
鮮な
此唇、
此兩頬。
彼は
周圍には一
切心を
惹かされることもなく
袂の
燐寸へ
火を
點けては
又燐寸を
袂へ
入て、さうしてからげつそりと
落ちた
兩頬の
肉が
更にぴつちりと
齒齦に
吸ついて
畢ふまで
徐りと
煙草を
吸うて