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齒齦
煙管をすつと
拔いてから
又齒齦へ
空氣を
吸うて
煙と一つに
飮んで
畢つたかと
思ふやうにごくりと
唾を
嚥んで、それから
煙を
吐き
出すのである。
歳の
首といふので
有繋に
彼の
家でも
相當に
餅や
饂飩や
蕎麥が
其の
日/\の
例に
依て
供へられた。
軟かな
餅が
卯平の
齒齦には一
番適當して
居た。
だん/\
燒いて
膨れても
外側は
齒齦を
痛める
程硬ばつて
來た。
卯平は
其の一つさへ
滿足に
嚥み
下さうとするには
寧ろ
粗剛いぼろ/\な
飯よりも
容易でなかつた。