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眞個
読み方 | 割合 |
まつたく | 30.0% |
ほんと | 26.7% |
ほんとう | 20.0% |
ほんたう | 16.7% |
しんこ | 3.3% |
まツたく | 3.3% |
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父は
憤ツてゐる、母夫人は
冷淡だ。周三は何處にも取ツて
付端が無いので、
眞個家庭を離れて了ツて、獨其の
室に立籠ツて頑張ツた。
此の
髮の
毛を
引拔かれますやうに……
骨身に
應へるやうなんです……
蟲には
濟まないと
存じながら……
眞個に
因果なんですわねえ。
『
其の
先生が
私どもに
教へたから、
其の
先生を
龜ノ子先生ッて
呼んだのさ』と
海龜は
腹立しげに
云つて、『
眞個にお
前は
鈍物だね!』
樣子を
聞くと、
汽船會社の
無錢で
景物は、
裏切られた。
何うも
眞個ではないらしいのに、がつかりしたが、
此の
時の
景色は
忘れない。
日出雄少年をば
眞個の
海軍々人の
手に
委ねんとせし
彼の
父の
志が、
今や
意外の
塲所で、
意外の
人に
依て
達せらるゝ
此嬉しき
運命に、
思はず
感謝の
涙は
兩眼に
溢れた。
固より
些も無氣味と思ふ樣子もなければ、
汚ないと思ふ樣子も無い。
眞個驚くべき入神の妙技で、此くしてこそ自然の祕儀が
會得せられようといふものである。