眞個ほんたう)” の例文
新字:真個
樣子やうすくと、汽船會社きせんぐわいしや無錢たゞ景物けいぶつは、裏切うらぎられた。うも眞個ほんたうではないらしいのに、がつかりしたが、とき景色けしきわすれない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
多分さうした綽名あだなのある何處かの奇人ででもあらうと思つてゐると、それが眞個ほんたうの陸軍大將西郷隆盛であつたのに驚いたことは、今でも半月に一度ぐらゐ思ひ出してゐる。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
いや、よしんばそれ眞個ほんたう難破信號なんぱしんがうであつたにしろ、此樣こんな平穩おだやか海上かいじやう難破なんぱするやうなふねまつた我等われ/\海員かいゐん仲間以外なかまはづれです、なに面倒めんだう救助きうじよおもむ義務ぎむいのです。
馬鹿ばかにしてるよ、こんなにおまへさん、ふだをつけとかないつてやつがあるもんか。うつかりだよ、眞個ほんたうにさ。」
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夫人おくさん! 先刻せんこく貴女あなた左樣さうつしやいましたねえ。わたくし眞個ほんたうに、此世このよでまた貴女あなたにおにかゝらうとはおもまうけませんでした、じつ不思議ふしぎですよ、一體いつたいあのとき如何どうして御助命おたすかりになりました。
つたとふ——眞個ほんたうらん、いや、うそでない。これわたしうちて(久保勘くぼかん)とめた印半纏しるしばんてんで、脚絆きやはんかたあしをげながら、冷酒ひやざけのいきづきで御當人ごたうにん直話ぢきわなのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あゝ、あのときは、眞個ほんたう物凄ものすご御坐ございましたねえ。