“一束”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひとたば66.0%
ひとつか18.0%
いっそく10.0%
いつそく4.0%
ひとたばね2.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
藍色あいいろの夏服を着た、敏捷びんしょうそうな奴である、ボイは、黙って、脇にかかえていた新聞の一束ひとたばを、テーブルの上へのせる。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは(実際はそんな物をお持ちになりませんけれど、)私から昔あなたへお上げした手紙の一部である五六通が一束ひとたばになつた物なのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「こういう時は、根を刈らねばならん。およそ漢朝の旧臣と名のつく輩は、その位官高下を問わず、一束ひとたばにして、鄴都へ送りよこせ」と、厳達した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うへはう一束ひとたばにしたかみが、彼女かのぢよを一そう少女せうぢよらしく痛々いた/\しくせた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
震災に、なんにも持たずにのがれ出たが、一束ひとたばの手紙だけは——後に焼きすてたというが、——あの中で、おとしたらばと胸をおさえて語ったお友達がある。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一個ひとつの抽匣から取り出したのは、一束ひとつかねずつ捻紙こよりからげた二束ふたつふみである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
鳥類の捕獲には一端に石或は角の小片をむすけたるひもの、長さ二三尺位のもの數本を作り之を他の端に於て一束ひとつかねにくくりたるものを用ゐし事も有りしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
とドス声でかんを殺す……この熊漢くまおとこの前に、月からこぼれた白いうさぎ、天人の落し児といった風情の、一束ひとつかねの、雪のはだは、さては化夥間ばけなかまの雪女であった。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鞍には、旅の食糧かてやら、雨具やら、郡司のとがめられた時に示す戸籍の券やら、一束ひとつかの弓矢をもゆわいつけて、豊田のたちを出るとすぐの坂道へ、意気揚々と、降りて行った。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「束鮒」は一束ひとつか、即ち一握ひとにぎり(二寸程)ぐらいの長さをいう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
彼はこの言葉で狼狽あわてながらも、懐中から先刻貰ったプログラムと真新らしいハンカチとを一束いっそくたにつかみ出した。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
それも演義本にのみよらず、他の諸書をも考合こうごうして、より史実的な「孔明遺事こうめいいじ」ともいうべき逸話や後世の論評などを一束いっそくしておくのも決して無意義ではなかろう。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「解ったよ八。お前は、金を隠していない場所に、危ない仕掛けをしたのがおかしいって言うつもりだろう。その通りさ、この穴の中に千両箱が一束いっそくもあった日にゃ、物事が素直に運びすぎるよ」
チョン、チョンチョンと一束いっそくにとび、しきりに粟を拾って居る。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
二十枚を「一っぱ」、十ぱを「一束いっそく」と呼ぶ。
樺細工の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
雪車につみて縛つけ山刀やまかたなをさしいれ、ひくきしたがつて今来りたる方へ乗下のりくだりたるに、一束いつそくの柴雪車よりまろおち
「解つたよ八。お前は、金を隱してゐない場所に、危ない仕掛をしたのがをかしいつて言ふつもりだらう。その通りさ、この穴の中に千兩箱が一束いつそくもあつた日にや、物事が素直に運び過ぎるよ」
泡沫しぶきが飛んで、傾いたふなばたへ、ぞろりとかかって、さらさらと乱れたのは、一束ひとたばねの女の黒髪、二巻ばかり杭に巻いたが、下には何が居るか、泥で分らぬ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)