一束いっそく)” の例文
つる本白もとじろ羽とこうの羽とを合わせてはいだ矢で、長さは十三束三伏じゅうさんぞくみつぶせ沓巻くつまきから一束いっそくほど置いたところに、和田小太郎平義盛とうるしで書いてあるのだった。
彼はこの言葉で狼狽あわてながらも、懐中から先刻貰ったプログラムと真新らしいハンカチとを一束いっそくたにつかみ出した。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
それも演義本にのみよらず、他の諸書をも考合こうごうして、より史実的な「孔明遺事こうめいいじ」ともいうべき逸話や後世の論評などを一束いっそくしておくのも決して無意義ではなかろう。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
チョン、チョンチョンと一束いっそくにとび、しきりに粟を拾って居る。私は仄かな悦びを覚えた。けれども、その様子を見守って居るうちに、私はそぞろ物哀れを覚えて来た。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「解ったよ八。お前は、金を隠していない場所に、危ない仕掛けをしたのがおかしいって言うつもりだろう。その通りさ、この穴の中に千両箱が一束いっそくもあった日にゃ、物事が素直に運びすぎるよ」
二十枚を「一っぱ」、十ぱを「一束いっそく」と呼ぶ。
樺細工の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)