かみ)” の例文
保胤は遂に寛和二年を以て、自分が折角こしらえた繭をかみやぶって出て、落髪出家の身となってしまった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さきに文角ぶんかくぬしが物語に、聴水ちょうすいといふ狐は、かつてわが父月丸つきまるぬしのために、尾の尖かみ切られてなしと聞きぬ。今彼の狐を見るに、尾の尖断離ちぎれたり。恐らくは聴水ならん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
あかりを消して裸に成つて寝たりしたのは一寸ちよつと凄い気持を与へたが、盗人ぬすびとが忍んで来て犬に吠えられ短銃ピストルを乱発して防ぎながらつひかみ殺されて仕舞しまふのは、其れが見せ場であるだけ俗悪ぞくあくな結果であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)