“吩咐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いいつ53.1%
いいつけ21.9%
いひつ13.5%
いひつけ8.3%
いいつか2.1%
いひつか1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
叔父は娘達に吩咐いいつけて、「もうすこし上」とか、「もうすこし下」とか言いながら、骨をまれるような身体の底の痛みを打たせた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夕方学校から帰ると、伯父さんの先生はもううに役所から退けていて、私の帰りを待兼たように、後から後からと用を吩咐いいつける。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それから數日間すうじつかん主人しゆじんうち姿すがたせなかつた。内儀かみさんは傭人やとひにん惡戯いたづらいてむしあはれになつてまたこちらから仕事しごと吩咐いひつけてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
足しいでつゝ手をばすゝがんと見れば雪隱せついんの角の柱に五合樽の片手かたてり引掛あれど中には水なし困じてそばに待ゐたる和吉に吩咐いひつけ井戸の水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母から吩咐いいつかって来た包みを解き、中から重箱に入れた麦の打菓子うちがしと、関の観音の守護袋まもりぶくろとを添えて
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今朝も朝から雲一つ無く、東向の靜子の室の障子が、カッとまぶしい朝日を受けて、晝の暑氣が思ひやられる。靜子は朝餐の後を、母から兄の單衣の縫直しを吩咐いひつかつて、一人其室に坐つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)