吩咐いひつけ)” の例文
足しいでつゝ手をばすゝがんと見れば雪隱せついんの角の柱に五合樽の片手かたてり引掛あれど中には水なし困じてそばに待ゐたる和吉に吩咐いひつけ井戸の水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
騷々さう/″\し過ぎます、グレイス。」とフェアファックス夫人は云つた。「吩咐いひつけを守るんですよ。」グレイスは、だまつてお辭儀して、這入つていつた。
それからお定は吩咐いひつけに隨つて、焜爐こんろに炭を入れて、石油を注いで火をおこしたり、縁側の雨戸を繰つたりしたが
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あのね、あちらへ行つたらば、花に来てといひかけて。あ好いよ、私が行つて吩咐いひつけましよう、貴夫人振るも、可笑おかしなもの、ねえあなた少しお待ちあそばしてと。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
ただ吩咐いひつけばかりいてるので自分じぶん機轉きてんといふものが一かうなかつたりするのでひど齒痒はがゆおもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たせてきてもかりしを供待ともまちちの雜沓ざつたふ遠慮ゑんりよして時間じかんはやめに吩咐いひつけかへせしものなんとしての相違さうゐぞやよもやわすれてぬにはあらじうちにても其通そのとほ何時いつまでむかさずにはかれまじ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ろくでなしの和郎わろめが!……(ロミオに對ひて)もし/\、貴下こなたさまえ、最前さいぜんまうしましたが、わしひいさまが、貴下こなたさがしていとの吩咐いひつけでな、その仔細わけあとにして、うてくことがござります
それからお定は吩咐いひつけに随つて、焜炉こんろに炭を入れて、石油を注いで火をおこしたり、縁側の雨戸を繰つたりしたが
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
むかへ申しても祝盃さかづきさへも致さぬうち後家ごけなすのが最惜いとほしければ此度の縁はなきものと思し絶念下あきらめくださるやと申して參れと長左衞門が吩咐いひつけに依て態々わざ/\參りましたるがまことにお氣の毒の次第にてといひたるまゝ戸外おもて飛出とびだあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
受出し近所の竹輿屋かごや吩咐いひつけて醫師陸尺ろくしやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)