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吩咐
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いいつけ
ふりがな文庫
“
吩咐
(
いいつけ
)” の例文
夕方学校から帰ると、伯父さんの先生はもう
疾
(
と
)
うに役所から
退
(
ひ
)
けていて、私の帰りを待兼たように、後から後からと用を
吩咐
(
いいつけ
)
る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
また、しょっちゅう料理場でうろうろしていて、叔父からあれ取れこれ取ってくれと一寸した用事を
吩咐
(
いいつけ
)
られるのを待つという風であった。
放浪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
主人の
吩咐
(
いいつけ
)
を、主人がまだ詳しく意中をいわないうちに、日吉にはもう分っていたので、つい、そういってしまったのである。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昨日も隣へ行きたるまま、久しく帰り来さりしかば、父の
吩咐
(
いいつけ
)
にて呼びに行きたるに、母はその時眼に角立てて
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
お島はおとらを客座敷の方へ案内すると、
直
(
じき
)
に席をはずして了ったが、実母の
吩咐
(
いいつけ
)
で父親を呼びに行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
彼等はオーブレイが
吩咐
(
いいつけ
)
てやつた金を仲間が持つて来るまで快く入口で見張をしてゐた。ルスヴン卿は見る見る衰弱して行つた。二日のうちつづいて脱疽に罹つた。
吸血鬼
(新字旧仮名)
/
ジョン・ウィリアム・ポリドリ
(著)
遠く出て遊ばないように、よく弁信さんの
吩咐
(
いいつけ
)
を聞いて、来年の春、わたしたちが帰るまで、おとなしくお留守居をしていて下さいって——よくいって聞かせてあげて下さい。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ついてはその方個人として出かけて館林様の行動を監視し、もし出来たら邪魔をするがよいと、こういう
吩咐
(
いいつけ
)
を受けたので、ああいう行動をとったのだが、今ではかえって後悔している。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弥吉は親方の
吩咐
(
いいつけ
)
に註を入れて、我ながら
旨
(
うま
)
く言ったと思ったが、それでもなお応じないから、土間の薄暗い中をきょろきょろと
眗
(
みまわ
)
したが、
密
(
そっ
)
と、
框
(
かまち
)
に手をついて、
及腰
(
およびごし
)
に、高慢な
顔色
(
かおつき
)
で内を
透
(
すか
)
し
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茂兵衛 波一里儀十さんの
吩咐
(
いいつけ
)
でやったことか、それとも一存か。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
お
吩咐
(
いいつけ
)
通りにして差支ございませんでしょうか。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
じゃお
母
(
っか
)
さんに
吩咐
(
いいつけ
)
られて釣に出ているのかい。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また、しょっちゅう料理場でうろ/\していて、叔父からあれ取れこれ取ってくれと一寸した用事を
吩咐
(
いいつけ
)
られるのを待つという風であった。
放浪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
御主人の
吩咐
(
いいつけ
)
で、
藪山
(
やぶやま
)
の
加藤清忠
(
かとうきよただ
)
様のおやしきまで走って行き、きっと夜半におしかけて来るにちがいないから、お願いしますと、知らせてあるんだぜ
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おや
家
(
うち
)
では……」とお政は怪しむ、その顔も
忽
(
たちま
)
ち
莞爾々々
(
にこにこ
)
となッた、昇の
吩咐
(
いいつけ
)
とわかッて。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「奥方様のお
吩咐
(
いいつけ
)
とかで、三人の腰元衆お庭へ出てまいられ、桜の花お手折り遊ばされ、お引き上げなさろうとされました際、その中の楓殿不意に苦悶され、そのまま卒倒なされましたが、もうその時には
呼吸
(
いき
)
がなく……」
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
用事を
吩咐
(
いいつけ
)
る時の編輯長の文句はいつもこれだ。つまりは、人を使うのが巧いというわけだった。ところがこの言葉は豹一にははなはだ面白くなかった。
青春の逆説
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
お喜代が、まだ、もじもじして、船頭に船を止めて、待っているように
吩咐
(
いいつけ
)
ると、斧四郎が、膝で薄目をあいた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、その気短な
吩咐
(
いいつけ
)
は、彼の側を追いまわすように
従
(
つ
)
いて歩いている近習たちに、いつも泡を吹かせるのだった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこかに
潜
(
ひそ
)
んでいるのを見つけたら、そっと、裏庭の木戸から、例の
田舎
(
いなか
)
の
間
(
ま
)
へ、導き入れて、武蔵に会わせてやるようにという
吩咐
(
いいつけ
)
をうけて来たのだという。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おぬしらは、お杉ばばの一族の者であろう。おばばの
吩咐
(
いいつけ
)
だ。お通さんをわしの手に渡せ」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「中の姉さんに、
吩咐
(
いいつけ
)
てあげるからいい。お侍様が、
怒
(
おこ
)
っても、知りませんよ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんなことはわかっとる。わかっとるからこそ貴様たちに密々こうして高家よりお頼みとしてお
吩咐
(
いいつけ
)
がくだったのじゃないか。それができんとあっては、この副官
陸謙
(
りっけん
)
もただでは帰れん。いやか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『誰の
吩咐
(
いいつけ
)
で』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吩咐
(
いいつけ
)
ると
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吩
漢検1級
部首:⼝
7画
咐
漢検1級
部首:⼝
8画
“吩”で始まる語句
吩附
吩付
吩