“かめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カメ
語句割合
37.7%
27.3%
19.8%
3.2%
洋犬3.2%
2.9%
日目2.6%
多福0.6%
0.6%
加女0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
魚槽0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ黒いかめを一具、尻からげで坐った腰巻に引きつけて、竹箆たけべら真黒まっくろな液体らしいものを練取っているのですが、粘々ねばねばとして見える。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同情を呈する事あたはず、いはんや、気宇かめの如くせまき攘夷思想の一流と感を共にする事、余輩の断じて為すこと能はざるところなり。
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
アキレウスは「そのスラリと長い脚で」無限にかめに近迫するがよい。しかし、ヅェノンの逆説を成立せしめることを忘れてはならない。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
「でも、この秋という字がわたしはすこし気に入らん。のぎへんがくずして書いてあって、それにつくりがかめでしょう。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此處でも籾をしてゐる牛部屋の前の廣場には、人影が見えないで、耳の垂れた洋犬かめ此方こつちを向いて大きな欠伸をした。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「えゝからそんなくすりなんぞのことかめえたてんなえ、れでなほつから」と小柄こがらぢいさんはそばからした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふものアンドレイ、エヒミチはこらこらへて、我慢がまんをしてゐたのであるが、三日目かめにはもう如何どうにもこられず。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
多福かめさんとタチヤナ姫と、ただの女と——そう! どう思い返してもこう呼ぶのがいい——が流行の波斯縁ペルシャぶちの揃いの服で、日けの深いキャフェの奥に席を取った。遊び女だ。
巴里のキャフェ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二勺より路は黒鉄くろがねを鍛へたる如く、天の一方より急斜して、爛沙らんさ焦石せうせき截々せつ/\、風のさわぐ音して人と伴ひ落下す、たまたま雲を破りて額上かすかに見るところの宝永山の赭土あかつちより、冷乳のかめを傾けたる如く
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
昨夜芝公園は山木紳商の奥室に於て、機敏豪放を以て其名を知られたる良人をつとをば、小僧同然どうやう叱咤しつた操縦せるお加女かめ夫人にてぞありける、昨夜の趣にては
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
加女かめ夫人ははるかに之を見て顔色たちまち一変せり、「まア、何と云ふヅウ/\しい奴でせう、脅喝ゆすり新聞、破廉耻漢はぢしらず
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それが窓にさわって、がさがさ云ったのだね。それは好いが、そこらにかめのような物やら、かごのような物やら置いてあって、その奥に粟稈に半分うずまって、人がいる。たしかに人だ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
女はそれを夜なかに食ったり、かめの中へ便を足したりすることになっていたのを、小川君が聞き附けたのだね。顔が綺麗だから、兵隊に見せまいと思って、隠して置いたのだろう。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
君は夏の形見の灰を収めし黄金こがねかめたずさへて
「悲しみ」はかめに灰となりにし
私はそこで奥様の魂をとって、かめの中へ入れてしまって、待っておりますと、しばらくして彼奴あいつが来てへやの中へ入りましたが、急に後にどいて、どうして知らない人を置いてあるのだといいました。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「その晩、夢のように、ある人が私をつかまえてかめの中へ入れたと思いましたが、めてみると血が衾に赤黒くついていたのです。それっきり怪しいことはなくなったのです。」
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「今捕るものは何ぞ」と尋ねしに、「鯉なり」と答ふ。「有らば売らずや」と言へば、「三四本有り」とて、舟を寄せたり。魚槽かめの内を見しに、四百目ばかりなるをかしらとし、都合四本見えたりし。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)