“甕:かめ” の例文
“甕:かめ”を含む作品の著者(上位)作品数
岡本綺堂10
北原白秋5
夏目漱石5
柳田国男3
蒲原有明3
“甕:かめ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 工芸 > 工芸33.3%
文学 > 中国文学 > 小説 物語6.6%
文学 > フランス文学 > 小説 物語5.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
いつか宝泉寺では、琥珀こはく色の透とほる水飴がかめに一ぱいあるのを持つて来て分けて呉れたことを僕は覚えてゐる。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
令史れいしあわまどひて、かたはらにありおほいなるかめなか匐隱はひかくれぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
仏教にしても、浄土、法華宗、天台、真宗派別なく参究して、その神髄をんでみな自己の心のかめにたたえていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背中のかめの中には木醋から採つたアルコールが入れてあつたので、體の搖れる度にいくらかづつ吹き出すのであつた。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
幸に大抵の民家には大きいかめが一つ二つは据えてあるので、その甕を畑のなかへ持ち出して、高粱こうりょうを焚いて湯を沸かした。
風呂を買うまで (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
笑うのも無理はない、王の前には大きい酒のかめが幾つも並んでいて、どの甕にも緑の酒があふれ出しそうになみなみと盛ってあった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
長さは三尺で、その大きいのはかめのごとく、小さいのも柱の如く、かしらは兎、からだは蛇で、うなじの下が白い。
幸いに大抵の民家には大きいかめが一つ二つは据えてあるので、その甕を畑のなかへ持ち出して、高粱コウリャンを焚いて湯を沸かした。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
天師は大きいかめのなかにかの魚を押し籠めて、神符をもってその口を封じ、県衙けんがの土中に埋めてしまった。
こしもとまたそのかめりけるが心着こゝろづいてさけんでいはく、かめなかひとあり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここで出来る長方型の「鰊鉢にしんばち」や、「切立きったて」と呼ぶかめの如きは、他の窯に例がありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
美しい青味のある海鼠釉なまこぐすりを用いて土鍋どなべだとか湯通ゆどうしだとかかめだとかを焼きます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
こちらはにあわぬので、白い桛糸かせいとくびにかけ、大きなかめにはいっておっとの背に負われ、市の見物に出かけた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
このかめは夏まで水葵みずあおいと称する水草みずくさが茂っていたがその後烏の勘公が来て葵を食い尽した上に行水ぎょうずいを使う。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
真夏の正午前の太陽に照りつけられた関東平野の上には、異常の熱量と湿気とを吸込んだ重苦しい空気がかめの底のおりのように層積している。
浅間山麓より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
主人穀賊に彼は誰ぞと問うと、彼こそ金宝の精で、この西三百余歩に大樹あり、その下に石のかめを埋め、黄金中に満ち居る、その精だといった。
娘は例のごとく素焼すやきかめを頭の上に載せながら、四五人の部落の女たちと一しょに、ちょうど白椿しろつばきの下を去ろうとしていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
形はかめのごとく、はちが開いて、開いたいただきが、がっくりと縮まると、丸いふちになる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いくら猫でも一旦いったんかめへ落ちて往生した以上は、そう安っぽく復活が出来る訳のものではない。
女は、ぎろりと眼を光らして、売場のかめから、土間につんだ四斗樽までを一巡見まわした。そして、
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
小翠は笑い笑いそれを止めて、湯あみをすまし、その後で熱い煮たった湯をかめに入れて、元豊の着物を脱ぎ、婢に手伝わして伴れていってその中へ入れた。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
南岳また年々土中にかめを埋めて鈴虫を繁殖せしめ、新凉の節を待つてこれを知友にわかつ。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「もし、旦那。わたくしはまだ外にも隠したものがあります。それはかめに入れて、侍郎橋の水のなかに沈めてありますから、もう一度行ってお取りなさい。」
自来也の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
頁が足らんからと云うて、おいそれとかめからい上る様では猫の沽券こけんにも関わる事だから是丈これだけ御免蒙ごめんこうむることに致した。
取っておきの老酒ラオチューかめが姿を消したり、つらはちの苦難つづきであったが、しかもなお彼は抗日精神こうにちせいしんに燃え
僧侶の方でも最も重い高等僧侶などは皆そこへ立ち会いまして、まず黄金のかめのような物に、その子供が三人あれば三人の名、四人あれば四人の名を書いて入れる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
するとその途端にかめが一つ、どこからか彼の頭を目がけて、勢い好く宙を飛んで来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ようやく頭だけ浮くからどこだろうと見廻わすと、吾輩は大きなかめの中に落ちている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昼飯を食って汗になったので、天日で湯といて居る庭のかめの水を浴び、とうの寝台に横になって新聞を見て居る内に、い心地になって眠って了うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おさない私の心にあの酷い荒れようが、ひびの入ったかめのように深く刻まれていた。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
上ると土砂降どしゃぶりになった。庭の平たいかめの水を雨が乱れ撲って、無数の魚児の噞喁げんぎょうする様にね上って居たが、其れさえ最早見えなくなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
卓子の上にある、彫刻を施したかめの中には、一輪の素枯れた白薔薇が生けてある。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
「あれには驚きましたナ。イヤどうも腐りが早いので、首は、かめへ入れて庭へ埋めました。手紙はここに持っておりますが、私の身体まで、死のにおいがするようで——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
また元桶の酒を売場のかめに移すやり方や、水の割りかたなども一通り教わった。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
其の利益金の三割は必ず金貨にして床下に埋めて在るかめの中に貯えて置きます。
母と娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それをかめの中に作り込んで、その一部分を正月の用に、また或る量を京への土産みやげなどに残しておくほかは、多くの家々ではその折り限りにみな飲んでしまったのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
目的は必ずしも腹一杯、食べて楽しむようにということではなかったが、同じ単位の飲食物、たとえば一つのかめかもした酒、一つのこしきした強飯こわめし
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「糸太でも着てこそよかろう。かめればからだははだか
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わざわざ遠くの一条の上の井戸から人を雇つてかめみいれさせた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
しかもこれがもっと下等な生物になるともっと明瞭に現われて来るので、朝顔のつるが眼も何もないのに竹の棒を探り当て、銀杏いちょうの根が密封した死人のかめを取り囲む。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むねせまく ふしぎなふるいかめのすがたをのこしてゆくばらのはな、
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
マリユスは青銅のかめで、ジルノルマン老人は鉄のつぼであった。
然るも彼の舶載せるものと云へばいかなる者をも排斥し尽さんと計るものには、同情を呈する事あたはず、いはんや、気宇かめの如くせまき攘夷思想の一流と感を共にする事
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
たもち得ぬ才はたとへばうまざけのれしかめにも似たるこの人
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
めずらしいと思って持ち帰って、それをかめのなかに入れて置いた。
かげじゃ——その——くわつえ胴震どうぶるいの一件をな、はははは、こちとら、その、も一ツのかめしゅの方だって、手をおッつけりゃ血になるだ、なぞと
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこでその兄の言いますには、「もしお前がこの孃子を得たなら、上下の衣服をゆずり、身のたけほどにかめに酒を造り、また山河の産物を悉く備えて御馳走をしよう」と言いました。
と馬と竝び曳き行く荷の車焼鍋ランチウならしかめ高く積む
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小さな想像のかめには汲みつくすことのできない不思議な海もみた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
彼は部屋の隅にあるかめの水を汲んで、小坂部に飲ませてくれた。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
水うちて月の門邊かどべとなりにけり泡盛のかめに柄杓添へ置く
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
水うちて月の門辺かどべとなりにけり泡盛のかめに柄杓添へ置く
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大蛇だいじゃあぎといたような、真紅まっかな土の空洞うつろの中に、づほらとした黒いかたまりが見えたのを、くわの先で掻出かきだして見ると——かめで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(三方を両人のあいだに据うれば、両人は形をあらためて一礼す。玉虫は更に祭壇より神酒を入れたるかめを取りおろし、うやうやしく押しいただきて、しばしは口のうちにて何事をか念ず。)
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
南蛮は無釉のもので主として泡盛あわもりかめを作ります。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その後から金銀細工の鳳凰ほうおうや、蝶々なんぞの飾りを付けた二つの梅漬うめづけかめを先に立てて、小行李とか、大行李とかいった式の食料品や天幕テントなんぞを積んだ車が行く。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
近寄ってみると、それはこわれたかめの破片であった。
かめのふたならび人もなきむろに沈みて、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かめの首に繩をかけてみたり、まはりを掘つててこを入れてみたり、いろいろ苦心してみたが、甕は根が生えたやうに土中に深く坐りこんで、引つ越すのはいやだと云はぬばかりに構へてゐるのである。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
棚の下には味噌のかめ醤油しょうゆたる
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
はた、かめのふたならび、さこそあれ夢はたゆたひ、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かめびん花瓶かびん、管、煉瓦れんが
渦巻の浮彫をしたかめ形の王宮にはほうぼうに入口があり、暖い日にはおどしのよろいをきた幾百の騎士が勇みたって湖のかなたに笑顔をもって彼らを待つ恋人のかぐわしい脣をすいにゆく。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
黒色で、身のたけは三十余丈、それにしたがう小蛇の太さはたるきのごとく、柱のごとく、あるいは十こく入り又は五石入りのかめのごときもの、およそ幾百匹、東から西へむかって隊を組んで行く。
降って台所に行くならば、かめ、鍋、等。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かめより、はたおもてよりあふれいでぬ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
彼は古びたかめのようなものを抱えていた。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かめの中や、革嚢の中にしまってあります。
砂石しやせきかめ、木づくりの古椅子。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
砂を練り固めたような大きなかめがある。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
窓の外に大きなかめけてある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次にかめ、(これこそ死骸むくろ、)
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
かめ中の名を探る 法王に生れた化身けしんの候補者というのをごく秘密に取り調べて見ると、三人あるいは四人の子供を得ることになるけれども、その子供が五歳位になるまでは政府からそんなに保護も加えない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ドラム罐ではなく、かめ風呂である。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
かくてわがいのちかめ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
空になったかめは、いずれも毛嫌いされて、家の中には再び入れてもらえず、一旦は公園の中に持ちこまれて、甕の山をきずいたが、万一この甕の山が爆発したら、あの刃物のような甕の破片が空高くうちあげられ、四方八方へ
飾窓のなかには、あしのとれた写字机ビュウロオや、石版画の西洋の風景や、セエブル焼きの置時計、壊れた手風琴てふうきん、金鍍金メッキ枝燭台えだしょくだい、さまざまな壺やかめ、赤く錆びた三稜剣エペ
空腹を防ぐために子への折檻せっかんをひかえた黄村、子の名声よりも印税が気がかりでならぬ黄村、近所からは土台下に黄金の一ぱいつまったかめをかくしているとささやかれた黄村が、五百文の遺産をのこして大往生をした。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
かめの水濁りて古し、
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
が、簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、かめでも瓶子へいしでも、皆あかちゃけた土器かわらけはだをのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ぎがてにあいちやんは、たなひとつから一かめ取下とりおろしました、それには『橙糖菓オレンジたうくわ』と貼紙はりがみしてありましたが、からだつたのでおほいに失望しつばうしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ほのかな間接照明が、陳列室にたそがれのような、ものしずかな調子をつけ、高低さまざまなケースのなかで、つぼや、かめや、水差や、陶碗とうわんが、肩の張りと腰のふくらみに、古代の薄明をふくみながら、ひっそりと息づいている。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは古い化学工業の原書げんしょにあるようなレトルトだの、耐酸性たいさんせいかめだの、奇妙に曲げられた古い硝子管ガラスかんだのが、大小高低だいしょうこうていことにした架台かだいにとりつけられていたのだった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
亀は長さ四、五すん、雪のように真っ白ですこぶる可愛らしいので、彼はそれを買って帰ってかめのなかに養って置くと、日を経るにしたがって大きくなって、やがて一尺ほどにもなったので、軍士はそれを憐れんで江の中へ放してやった。
かめ
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
それはごくふる時代じだいにもあつて、その時分じぶんはたゞおほきなかめつぼあはせて使つかつたのですが、のちには石棺せきかんをまねて、やはり家形いへがたおほきなかん出來できました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
毎日毎日方々へお経を読みに行って貰って来たお金を一つの大きなかめの中に溜めていましたが、だんだん一パイになってくるにつれて泥棒に取られそうなので怖くてたまらなくなりまして、或る晩のこと小僧にも誰にも知れないようにお庭の隅に埋め、その上に樫の木を一本植えました。
ツクツク法師 (新字新仮名) / 夢野久作香倶土三鳥(著)