昔、一人の女がいた。 女は御所につとめ、幼いころからその御所の奥ふかくに住み、中宮の御身のまわりのこまごまとした雑用をはたすのが役目だった。 中宮と主上との御仲はたいへん円満で、毎日は時の刻みのように着実に、平和に過ぎ、そのあいだ女もまた中 …
著者 | 山川方夫 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「ヒッチコック・マガジン 第四巻第一二号」宝石社、1962(昭和37)年11月1日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約10分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約16分(300文字/分) |