釣好隠居の懺悔つりずきいんきょのざんげ
中川の鱸に誘き出され、八月二十日の早天に、独り出で、小舟を浮べて終日釣りけるが、思はしき獲物も無く、潮加減さへ面白からざりければ、残り惜しくは思へども、早く見切りをつけ、蒸し暑き斜陽に照り付けられながら、悄々として帰り途に就けり。 農家の前 …