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瓶
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かめ
ふりがな文庫
“
瓶
(
かめ
)” の例文
瓶
(
かめ
)
の薄紅梅、もう満開をすぎました。散りはじめて、火のない火鉢の上にのせてあるナベの水の面に花弁が二片三片おちて居ります。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ただ黒い
瓶
(
かめ
)
を一具、尻からげで坐った腰巻に引きつけて、
竹箆
(
たけべら
)
で
真黒
(
まっくろ
)
な液体らしいものを練取っているのですが、
粘々
(
ねばねば
)
として見える。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「魏延! 野望を持つもいいが、身の程を
量
(
はか
)
って持て。一斗の
瓶
(
かめ
)
へ百
斛
(
こく
)
の水を容れようと考える男があれば、それは馬鹿者だろう」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
順作の驚いたのは昨夜
己
(
じぶん
)
の手で
瓶
(
かめ
)
の下へ伏せた父親が
一昨昨夜
(
いっさくさくや
)
死んでいると云う奇怪さであった。しかし、それは云えなかった。
藍瓶
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
纒
(
まと
)
まつた大金は、
瓶
(
かめ
)
に入れて大地に埋めるか、ボロ片に包んで屋根裏に忍ばせるほかには、安全な隱し場所がなかつたわけです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
遺骸を拾い、
瓶
(
かめ
)
に納め、幸阿弥陀仏に預けて置いて、その後二尊院の西の岸の上に
雁塔
(
がんとう
)
を建ててそこへ遺骨を納めることとした。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しばらく好きな書籍の顔も見ずに暮していた捨吉の
饑
(
う
)
えた心は、まるで水を吸う乾いた
瓶
(
かめ
)
のようにその書籍の中へ浸みて行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
室の
隅
(
すみ
)
に一つの
瓶
(
かめ
)
があって
佳
(
よ
)
い酒を貯えてあったので、それを取って飲んだが、すこしすくなくなると渓の水を汲んで入れた。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
この
木彫
(
きぼり
)
や
金彫
(
かねぼり
)
の様々な
図
(
ず
)
は、
瓶
(
かめ
)
もあれば天使もある。羊の足の神、羽根のある
獣
(
けもの
)
、不思議な鳥、または
黄金色
(
こがねいろ
)
の
堆高
(
うずたか
)
い果物。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
其
(
その
)
頃いつも八重さくらが
盛
(
さか
)
りで、兄はその
爛熳
(
らんまん
)
たる花に
山吹
(
やまぶき
)
を
二枝
(
ふたえだ
)
ほど
交
(
ま
)
ぜて
瓶
(
かめ
)
にさして供へた。
伯母
(
おば
)
は
其
(
その
)
日は
屹度
(
きつと
)
筍
(
たけのこ
)
を
土産
(
みやげ
)
に持つて来た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
なにどうせ幾度も汲みに
行
(
ゆ
)
くんで、
宅
(
うち
)
の姐さんは
清潔家
(
きれいずき
)
でもって
瓶
(
かめ
)
の水を日に三度
宛
(
ずつ
)
も替えねえと
孑孑
(
ぼうふら
)
が湧くなんてえ位で
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僧は水を
索
(
もと
)
めて噴きかけると、神授はたちまち小さい
朱
(
あか
)
い蛇に変った。僧は
瓶
(
かめ
)
をとって神授の名を呼ぶと、蛇は躍ってその瓶のうちにはいった。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「君と僕とは生前にも寝食を
倶
(
とも
)
にしていたが、見れば
瓶
(
かめ
)
も並べてある。死んでからも隣同士話が出来そうじゃ」と云った。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
水の講釈にかけては人一倍やかましい茶人達の事とて、あつちこつちの名水を
瓶
(
かめ
)
に入れて
各自
(
てんで
)
に持寄りをする事にきめた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
掘出
(
ほりいだ
)
し候
處
(
ところ
)
上
(
かみ
)
へも御屆申上げず
密
(
ひそか
)
に自分方へ
仕舞置
(
しまひおき
)
候旨をば訴へに及びたり役人中此由を聞き吟味の上兵助を役所へ
呼寄
(
よびよせ
)
其方事此度
畑
(
はたけ
)
より古金の
瓶
(
かめ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
尺を取ってみたら二間あった。右の方に、赤い模様のある瀬戸物の
瓶
(
かめ
)
を
据
(
す
)
えて、その中に
松
(
まつ
)
の大きな
枝
(
えだ
)
が
挿
(
さ
)
してある。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瓶
(
かめ
)
で水を汲んでいる娘とがいましたが、それを見ると、彼は立止まって、水を一杯御馳走して下さいと頼みました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
それで
狩獵
(
しゆりよう
)
でとつて
來
(
き
)
た
獸
(
けだもの
)
の
肉
(
にく
)
は、
壺
(
つぼ
)
の
中
(
なか
)
に
鹽漬
(
しほづ
)
けとして
保存
(
ほぞん
)
されるし、
水
(
みづ
)
やその
他
(
た
)
の
流動物
(
りゆうどうぶつ
)
を
瓶
(
かめ
)
に
入
(
い
)
れて、
自由
(
じゆう
)
に
運
(
はこ
)
ぶことも
出來
(
でき
)
るようになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
かの
瓶
(
かめ
)
にうつしたるはらゝごを
沙石
(
しやせき
)
のまゝさけのうみつけたる如くになしおき、此川にて
鮏
(
さけ
)
いでくとも三年
捕
(
と
)
る事を
国禁
(
こくきん
)
あらば鮏を
生
(
しやう
)
ぜんもしるべからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
さぶは
蝋燭
(
ろうそく
)
に火をつけ、仕事場の一隅にある揚げ蓋を開き、縁の下にある五つの
瓶
(
かめ
)
を示した。水瓶よりちょっと小さい物で、その下半分は土に埋まっている。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「は」と才蔵は立ち上がりそのまま奥へ引っ込んだが、間もなく
素焼
(
すや
)
きの
瓶
(
かめ
)
を持って静かに再び現われた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかも私にはその周囲さえ、決して頼もしい気は起させなかった。私の
後
(
うしろ
)
にある
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
には、花も
活
(
い
)
けてない青銅の
瓶
(
かめ
)
が一つ、
威
(
い
)
かつくどっしりと据えてあった。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この痛み、もう大きの、参りますならば、多分私は死にましょう。私死にますとも、泣く、決していけません。小さい
瓶
(
かめ
)
買いましょう。三銭あるいは四銭位です。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
御存じだと思うが、仏教の方で
瀉瓶
(
しゃへい
)
と云う言葉がある。
瓶
(
かめ
)
の水を
瀉
(
うつ
)
し
更
(
か
)
えるように、すっかり伝えてしまうことである。貴殿に対する拙者の人相教授も瀉瓶だった。
奉行と人相学
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は鋸でその首を切断して、その首が楽に這入るほどの大きな
瓶
(
かめ
)
にナフタリンと一緒に詰込み、更に白木の小さな箱棺に納め、女房の墓と並べて葬ったのであった。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
酒はそれ以前には
酒甕
(
さかがめ
)
の中で造っていた。『
更級日記
(
さらしなにっき
)
』の文にも見えているように、その甕は土中に作り据えてあって、酒を運ぶにはさらに小さな
瓶
(
かめ
)
を用いていた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ある日も親爺が見番で将棋を差している
隙
(
すき
)
に、裏通りをまわって栗栖の家の門を開けた。栗栖はちょうど
瓶
(
かめ
)
に生かったチュリップを、一生懸命描いているところだったが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
肥料にするかせぬか
分
(
わか
)
らぬが行きさえすれば呉れるから、それをドッサリ
貰
(
もらっ
)
て来て
徳利
(
とくり
)
に入れて、徳利の
外面
(
そと
)
に土を塗り、又素焼の大きな
瓶
(
かめ
)
を買て七輪にして
沢山
(
たくさん
)
火を起し
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
而して、床の上に
其等
(
それら
)
の人々が使っていた
瓶
(
かめ
)
や、
壜
(
びん
)
や、食器が転っているばかりだと思う。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私の頭の中は
瓶
(
かめ
)
のように空虚になって居て、石ころが二つ三つ入れてあるらしく、それが頸を振る度毎に中で彼方此方へゴロゴロ転がり廻った。体中が汗でべと/\して居る。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
獅子獣小さしといえども
撮
(
と
)
り食らう事
塵土
(
じんど
)
のごとし、大竜身無量にして
金翅鳥
(
こんじちょう
)
に
搏
(
う
)
たる、人身長大にして、肥白端正に好しといえども、七宝の
瓶
(
かめ
)
に糞を盛り、
汚穢
(
おわい
)
堪うべからず
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その広間はどこの
居酒屋
(
いざかや
)
にも見られるようなもので、食卓、
錫
(
すず
)
の
瓶
(
かめ
)
、
酒壜
(
さけびん
)
、それから酒を飲んでる男や、
煙草
(
たばこ
)
をふかしてる男、中はうす暗くて、しかも騒然たる音を立てていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
筧の水というものはこの崖から絞れて落つる玉のような清水を集めて、小さい素焼きの
瓶
(
かめ
)
に受けたので
綰物
(
まげもの
)
の柄杓が浮べてある。あたりは
芒
(
すすき
)
が生いて、月見草が自然に咲いている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
亀の年という甘いお酒(瀬戸物の大きな
瓶
(
かめ
)
のかたちの器にはいっていた)をのませたのでその名をよく覚えてしまって、ある時、お前は
卯
(
う
)
の年、お前は
巳
(
み
)
の年と年寄りが言っていたらば
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見よ、サマリヤの婦人は
指
(
ゆびさ
)
し、基督は目して居玉ふなり。直ぐ
背
(
うしろ
)
なるエバルの山の山つゞきには、昔のスカル今のアスカルの
三家村
(
さんかそん
)
山に
靠
(
よ
)
りて白し。
瓶
(
かめ
)
を忘れて婦人の急ぎ行く
後影
(
うしろかげ
)
を見よ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ゴボッゴボッという、
瓶
(
かめ
)
の口から水の出る時の様な、一種異様の音であった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが
荷物
(
にもつ
)
に
成
(
な
)
るもあり、
御懇命
(
ごこんめい
)
うけまするお
出入
(
でいり
)
の
人々
(
ひと/″\
)
お
手傳
(
てつだひ
)
お
手傳
(
てつだ
)
ひとて
五月蠅
(
うるさ
)
きを
半
(
なかば
)
は
斷
(
ことは
)
りて
集
(
あつ
)
まりし
人
(
ひと
)
だけに
瓶
(
かめ
)
のぞきの
手
(
て
)
ぬぐひ、それ、と
切
(
き
)
つて
分
(
わ
)
け
給
(
たま
)
へば、一
同
(
どう
)
手
(
て
)
に
手
(
て
)
に
打冠
(
うちかぶ
)
り
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
瓶
(
かめ
)
の水がゆるがされて打ちふるえる水の輪が
縁
(
ふち
)
に寄ってやがて静まるとおなじように、すべての乱れはこういうふうにたちまちやわらかに
熨斗
(
のし
)
をかけられたようにおさまってしまうのである。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
翌日その茄子を出して今の塩水の中へ
麹
(
こうじ
)
を五合に芥子を二合五勺溶いて入れて
瓶
(
かめ
)
の中へその水で茄子を漬け込んでよく攪き混ぜてよく
夷
(
なら
)
して紙を一枚載せて上等の酢をその紙へ振りかけます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
瓶
(
かめ
)
にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゞかざりけり
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
瓶
(
かめ
)
に
挿
(
さ
)
させて、
庇
(
ひさし
)
の
間
(
ま
)
の柱の所へ出しておしまいになった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
野稗の穗
瓶
(
かめ
)
にさしつつうらさぶしかくのごとくや人の坐りし
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
天井も、卓も、
瓶
(
かめ
)
の花も
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
瓶
(
かめ
)
の身は砕けてちりて
如是
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
金
(
きん
)
の
瓶
(
かめ
)
がとろける。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
一枚戸を開きたる土間に、
卓子
(
テエブル
)
椅子
(
いす
)
を置く。ビール、サイダアの
罎
(
びん
)
を並べ、
菰
(
こも
)
かぶり
一樽
(
ひとたる
)
、
焼酎
(
しょうちゅう
)
の
瓶
(
かめ
)
見ゆ。この店の
傍
(
わき
)
すぐに
田圃
(
たんぼ
)
。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、ここに
好漢
(
おとこ
)
同士の
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりがまた新たに結ばれ、銘酒“
玉壺春
(
ぎょっこしゅん
)
”の
泥封
(
でいふう
)
をさらに二た
瓶
(
かめ
)
も開いて談笑飽くなき景色だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瓶
(
かめ
)
一パイの
金
(
かね
)
だ相ですよ親分、——先代が何處かに埋めてあるに相違ありません。中に伯父の
遺言
(
ゆゐごん
)
も一緒に入つて居る筈です。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
東の方は
手児名
(
てこな
)
の
社
(
やしろ
)
、その
後
(
うしろ
)
は
瓶
(
かめ
)
の
井
(
い
)
より水が流れ、これより石坂を登ると、弘法寺の堂の前に二葉の
紅葉
(
もみじ
)
、秋の頃は誠に景色の
好
(
よ
)
い処でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
瓶
(
かめ
)
を見てもあいにく——外の
筧
(
かけひ
)
は氷っている、やむを得ず、谷川まで御苦労をしたと思えば思えないこともない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“瓶”の意味
《名詞》
瓶(びん)
液体や漬物、ジャムなどを入れるガラス製、陶磁器製、プラスチック製などの容器。
かめ。
徳利。
(出典:Wiktionary)
“瓶”の解説
瓶、壜(びん)は、ガラスや陶器を材料とした容器。
(出典:Wikipedia)
瓶
常用漢字
中学
部首:⽡
11画
“瓶”を含む語句
水瓶
酒瓶
花瓶
瓶子
一瓶
大瓶
小瓶
茶瓶
禿茶瓶
藍瓶
銀瓶
釣瓶落
硝子瓶
瓶花
金瓶
陶瓶
土瓶
鉄瓶
薬瓶
溲瓶
...