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沙石
うむを見て
男魚己が
白䱊を
弾着、
直に
女魚男魚掘のけたる
沙石を左右より
尾鰭にてすくひかけて
鮞を
埋む。一
粒も
流さるゝ事をせず。
かの
瓶にうつしたるはらゝごを
沙石のまゝさけのうみつけたる如くになしおき、此川にて
鮏いでくとも三年
捕る事を
国禁あらば鮏を
生ぜんもしるべからず。
時に
峯谷ゆすり動きて、風
叢林を
僵すがごとく、
沙石を
空に
巻上ぐる。見る見る
一二七一段の
陰火、君が
膝の
下より
燃上りて、山も谷も昼のごとくあきらかなり。