かめ)” の例文
平井勝家に会うて手水ちょうずを請うに、かめに水満ちて小姓二人かつぎ出し、平井洗手済んで残れる水を小姓庭へ棄てたので平井還って城内水多しと告げ、一同疑惑するところへ勝家撃ち出で勝軍かちいくさしたと記す。
二勺より路は黒鉄くろがねを鍛へたる如く、天の一方より急斜して、爛沙らんさ焦石せうせき截々せつ/\、風のさわぐ音して人と伴ひ落下す、たまたま雲を破りて額上かすかに見るところの宝永山の赭土あかつちより、冷乳のかめを傾けたる如く
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)