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轅
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かじ
ふりがな文庫
“
轅
(
かじ
)” の例文
唯
(
たつた
)
一輛残つてゐた俥の持主は五年前に死んで曳く人なく、
轅
(
かじ
)
の折れた其俥は、遂この頃まで
其家
(
そこ
)
の裏井戸の
側
(
わき
)
で見懸けられたものだ。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
車夫は
肯
(
き
)
き入れず——あるいは聞えなかったかもしれぬ——
轅
(
かじ
)
を下におろし、その老女をいたわり
扶
(
たす
)
け起し、
身体
(
からだ
)
を支えながら彼女に訊いた。
些細な事件
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
俥夫
(
しゃふ
)
は、茶屋からいいつけられたままで、深い
理
(
わけ
)
は知らないので、彼女に毛布をかけてやるとすぐに
轅
(
かじ
)
を上げて走り出した。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで彼は
轅
(
かじ
)
を引張ったり、鞭でひっ
叩
(
ぱた
)
いたりして一生懸命に馬を出そうとするけれど、
拗
(
す
)
ねた動物は却って膝を折りまげて、どたりと横っ倒しになった。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「遠いよ」と云った人の車と、「遠いぜ」と云った人の車と、顫えている余の車は長き
轅
(
かじ
)
を長く
連
(
つら
)
ねて、
狭
(
せば
)
く細い
路
(
みち
)
を北へ北へと行く。静かな
夜
(
よ
)
を、聞かざるかと
輪
(
りん
)
を鳴らして行く。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
轅
(
かじ
)
を上げた俥は、方向を
晦
(
くら
)
ます為めに一つ所をくるくると二三度廻って走り出したが、右へ曲り、左へ折れ、どうかすると Labyrinth の中をうろついて居るようであった。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
轅
漢検1級
部首:⾞
17画
“轅”を含む語句
轅棒
轅門
轅門斬子
御轅
蒔絵轅
轅台
轅固生
轅越
轅馬