静寂間しじま)” の例文
掃清めた広い土間に、おしいかな、火の気がなくて、ただ冷たいむろだった。妙に、日の静寂間しじまだったと見えて、人の影もない。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この、ものしずかなお澄が、あわただしく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段はしごだんを踏立てて、かかる夜陰をはばからぬ、音が静寂間しじま湧上わきあがった。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)