緘黙しじま)” の例文
旧字:緘默
四辺あたりさびしいので、色々な物音が耳に響く。ひなびて長閑のどかな鶏の声。あらゆる鳥の音。子供の麦笛むぎぶえ。うなりをうって吹く二百十日の風。おとなくして声ある春の雨。音なく声なき雪の緘黙しじま
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
だが、山は、たちまち一時の騒擾そうじょうから、元の緘黙しじまに戻ってしまった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
緘黙しじまを破って、かえってもの寂しい、乾声からごえが響いた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)