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『六甲山上の夏』
ふりがな文庫
『
六甲山上の夏
(
ろっこうさんじょうのなつ
)
』
薄紫の可憐な松虫草は、大空の星が落した花のような塵にもまみれず、爽やかな夏の朝を、高原のそこここに咲いていた。美しい糸を包んだ薄は日に/\伸びてゆき、山上の荘は秋もまだ訪ずれぬのに、昼さえ澄んだ虫の声をきくのであった。 海抜三千尺という山の …
著者
九条武子
初出
「無憂華」実業之日本社、1927(昭和2)年
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約3分(500文字/分)
朗読目安時間
約5分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
草木
(
そうもく
)
薄
(
すすき
)
魂
(
たま
)
慥
(
たし
)
沈黙
(
しじま
)
茅渟
(
ちぬ
)
落人
(
おちうど
)
裡
(
うち
)