“せいひつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:セイヒツ
語句割合
静謐73.8%
靜謐18.5%
声蹕1.5%
正筆1.5%
省筆1.5%
聖櫃1.5%
静蹕1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
客同志見知り越しのものもある。お互いに目礼はするが言葉に出して期待の時間の静謐せいひつを破りはしない。ただ腹の中で互いに想う。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのしたうたがひもなき大洞窟おほほらあなで、逆浪ぎやくらう怒濤どたう隙間すきまもなく四邊しへん打寄うちよするにかゝはらず、洞窟ほらあななかきわめて靜謐せいひつ樣子やうすで、吾等われらあゆたびに、その跫音あしおとはボーン、ボーン、と物凄ものすごひゞわたつた。
景陽宮の深殿しんでんは、ここかがや祗候しこうだった。出御しゅつぎょ金鈴きんれいがつたわると、ほどなく声蹕せいひつむちを告げること三たび、珠簾しゅれんサラサラと捲き上がって
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沙翁はクラレンス公爵の塔中で殺さるる場を写すには正筆せいひつを用い、王子を絞殺こうさつする模様をあらわすには仄筆そくひつを使って、刺客の語をり裏面からその様子を描出びょうしゅつしている。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは巧妙な芸術家の事である。同じモデルの写生を下手へたに繰り返されては、たまったものではない。ここらで省筆せいひつをするのは、読者に感謝してもらってもい。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして彼はサント・ジュヌヴィエーヴ会堂の聖櫃せいひつを不作法に取り扱って、サン・ジャンヴィエの聖壺に命令を下していた。
綴織ツルネーの下った長管喇叭トロムパの音が起って筒長太鼓ライディング・ティンパニイが打ち鳴らされ、静蹕せいひつを報ずる儀仗ぎじょう官の声が聴かれたなら、ちょうどそれが、十八世紀ヴュルッテムベルクかケルンテン辺りの
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)