“靱”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつぼ44.0%
しな16.0%
しなや8.0%
つよ8.0%
ゆき8.0%
ゆぎ8.0%
しわ4.0%
じん4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
春琴の日課は午後二時頃にうつぼの検校の家へ出かけて三十分ないし一時間稽古を授かり帰宅後日の暮れまで習って来たものを練習する。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
晴れても曇っても、冬が日一日と溶け去るけはいは争われなかった。街路樹の梢は、いつかしなやかなたわみを持ち始めた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しなやかな身体がつくり出す自然な女らしいしな、健康な溢れるやうな慾望、——口のあたりをもごもごさせる徳次、滑つこい河石、——相沢へ往診に行く途中の坂路で
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
ふぐり玉の表はつよく平滑なる白色の膜にして、その下に血管膜と縦横の中隔に隔てらるる数多の葉あり。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ゆき負ひて太刀を佩きたる物部もののふのよそほひしたる山ざくら花
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
には矢が千本も入るゆぎを負われ、胸にも五百本入りの靱をつけ、また威勢のよい音を立てるともをお帶びになり、弓を振り立てて力強く大庭をお踏みつけになり
それあの何とかいういさんがいたっけなあ。勝安芳かつやすよしよ。勝なんぞも苦労をしたが、内の親父も苦労をしたもんだ。同じ苦労をしても、勝はしわい命を持っていやぁがるから生きていた。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
またかれの強じんで尊大な、いくたびも試錬をへた意志と、このつのってくる倦怠けんたいとのあいだの、精根を枯らすような、日ごとにくりかえされる闘争をさえも、ほとんど愛していたことはいた。