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靱
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うつぼ
ふりがな文庫
“
靱
(
うつぼ
)” の例文
春琴の日課は午後二時頃に
靱
(
うつぼ
)
の検校の家へ出かけて三十分ないし一時間稽古を授かり帰宅後日の暮れまで習って来たものを練習する。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ところが、それから二年のちにはもう私は、
靱
(
うつぼ
)
の乾物屋で青い紐の前掛をしていました。はや私の放浪癖が頭をもたげていたのでしょう。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「
靱
(
うつぼ
)
に入れて、母屋の床の間に立てかけて置きましたが、彌太郎が玩具にして困るので近頃は柱にかけて置くこともあります」
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
定紋つきの塗長持の上に据えた
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
の雛のわきなる柱に、矢をさした
靱
(
うつぼ
)
と、細長い
瓢箪
(
ひょうたん
)
と、
霊芝
(
れいし
)
のようなものと一所に掛けてあった、——さ、これが変だ。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしまだ、高津の黒焼屋の前を通ると、私は私自身の生れた家を思い出す。それから
船場
(
せんば
)
方面や
靱
(
うつぼ
)
あたりには、私の幼少を
偲
(
しの
)
ばしめる家々がまだ相当にのこっている。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
弓の
靱
(
うつぼ
)
というものに似ているからの名というが、子供は久しく靱などというものを見たことがないから、幾ら発音しやすくともこの語を使わず、やはり自分たちの覚えやすい新名をこしらえた。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大神、尊を疑わせられ、
千入
(
ちいり
)
の
靱
(
うつぼ
)
を負い、
五百入
(
いおいり
)
の靱を附け、また臂に
伊都之竹鞆
(
いつのたかとも
)
を取り
佩
(
は
)
き、弓の腹を握り、振り立て振り立て立ち出で給うと、古事記に謹記まかりある。これ弓箭の根元でござる
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
漸
(
ようや
)
く金で関所を越えて、かゞぞへ出て
小豆沢
(
あずきざわ
)
、
杉原
(
すぎはら
)
、
靱
(
うつぼ
)
、
三河原
(
みかわばら
)
と五里少々余の道を来て、足も疲れて居ります。
殊
(
こと
)
に飛騨は
難処
(
なんじょ
)
が多くて歩けませんから、三河原の
又九郎
(
またくろう
)
という家に宿を取りました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山狩り用の
靱
(
うつぼ
)
、
竹箙
(
たけえびら
)
に僅かの矢を入れて集った。
現代語訳 平家物語:08 第八巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「
菜摘邨来由
(
なつみむららいゆ
)
」と題する巻物が一巻、義経公より拝領の
太刀
(
たち
)
脇差
(
わきざし
)
数口、
及
(
およ
)
びその目録、
鍔
(
つば
)
、
靱
(
うつぼ
)
、
陶器
(
とうき
)
の
瓶子
(
へいし
)
、それから静御前より
賜
(
たま
)
わった
初音
(
はつね
)
の
鼓
(
つづみ
)
等の品々。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恐らく母屋の床の間に
靱
(
うつぼ
)
があつた頃、眞矢を一本拔いて來て、彌太郎の玩具にして置いたものでせう。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太刀、脇差、
靱
(
うつぼ
)
等を手に取って見るのに、相当年代の立ったものらしく、殊に靱はぼろぼろにいたんでいるけれども、私たちに
鑑定
(
かんてい
)
の出来る性質のものではない。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小さい
靱
(
うつぼ
)
に入れた矢が五六本、羽も大方蟲喰ひになつて居りますが、不思議なことに、矢も弓も古い乍ら埃を拂つて、今直ぐでも使へるやうになつて居るのは、老人が時々若い時のことを思ひ出して
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
春松検校の家は
靱
(
うつぼ
)
にあって道修町の鵙屋の店からは十丁ほどの
距離
(
きょり
)
であったが春琴は毎日
丁稚
(
でっち
)
に手を
曳
(
ひ
)
かれて稽古に通ったその丁稚というのが当時佐助と云った少年で後の温井検校であり
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“靱”の解説
靱(うつぼ)は、大阪府大阪市西区の地域名称。現在の靱本町および江之子島2丁目東部に概ね該当する。
(出典:Wikipedia)
靱
漢検準1級
部首:⾰
12画
“靱”を含む語句
強靱
靱負
鷺坂靱負
左靱
靱帯
鞏靱
靱負正依
靱負尉
靱負之助
靱皮
靱猿
靱彦
厨川靱負
郷田靱負
河村靱負
松平靱負様
新沼靱負
堅靱
古靱