“魂魄”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
こんぱく74.0%
たましい12.3%
たましひ9.6%
こころ2.7%
たま1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
言い終るとまもなく、彼は従容しょうようとして死に就いた。宋江も呉用も、哀哭あいこくしてとりすがったが、魂魄こんぱく、ついに還らなかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水にも、火にも、ごうの尽きなかったおばさんの魂魄こんぱく、今度こそは、あの鳥辺野とりべのの煙できれいな灰となってしまって下さい。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それとも、彼はオーストラリヤで戦車にのし烏賊いかられて絶命し、魂魄こんぱくなおもこの地球にとどまって大蜘蛛と化したのであるか。
——これは外套の頭巾ばかりを木菟みみずくに被って、藻抜けたか、辷落すべりおちたか、その魂魄こんぱくのようなものを、片手にふらふらと提げている。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寝ているうちに、匕首ひしゅが飛んで首をさらうんだ、恐るべし……どころでない、魂魄こんぱくをひょいとつかんで、血の道の薬に持ってく。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
重太郎は手に取って、紅い花をつくづく眺めた。彼は自分の魂魄たましいこの花に宿って、お葉の温かきなさけを受けているようにも思った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
イヤ、骨身に徹するどころではない、魂魄たましいなどもとっくに飛出してしまって、力寿の懐中ふところの奥深くにもぐり込んで居たのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
云わば少しばかり金が出来たからとて公債を買って置こうなどという、そんなしらみッたかりの魂魄たましいとは魂魄が違う。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
無事で帰ったというよりは、殺された魂魄たましいが煙の如く立ち迷うて、ここへ流れついたと見るのが至当かも知れない。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
俯していらえなき内儀のうなじを、出刃にてぺたぺたとたたけり。内儀は魂魄たましいも身に添わず、
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
欲しいものを取つて喰べるのは當り前だ、といふ考へは、文吾の魂魄たましひに深く/\植ゑ付けられて、なか/\拔き去ることの出來ぬものになつてゐる。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「あの色男野郎の彌八ですよ。許嫁のお君が殺されて三日目、魂魄たましひがその邊に迷つてゐるのに、もう、變な素振りをするぢやありませんか」
どうかして、主婦に見られないやうに、あの杉の葉を吊した店の前を通り過ぎることは出來ないものかと、八歳やつつの文吾が小ひさい魂魄たましひは、いろ/\に苦勞を始めた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ふけ行くまゝに霜冴えて石床せきしやういよ/\冷やかに、万籟ばんらい死して落葉さへ動かねば、自然おのづしん魂魄たましひも氷るが如き心地して何とはなしに物凄まじく
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞いよ/\五重塔の工事しごとするに定まつてより寐ても起きても其事それ三昧ざんまい、朝の飯喫ふにも心の中では塔をみ、夜の夢結ぶにも魂魄たましひは九輪の頂を繞るほどなれば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それなら何うしようというのではないが、唯何にでも魂魄こころられ易くなっているから、道を歩きながら、フト眼に留った見知らぬ女があると、浮々うかうかと何処までも其の後を追うても見た。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
身体は自家にいながら、魂魄こころは宙に迷うていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
いましの行方へ魂魄こころまどふ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
黄金丸はやや暁得さとりて、「さてはわが亡親なきおや魂魄たま、仮に此処ここに現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那あな感謝かたじけなし」ト伏し拝みつつ、その燐火の行くがまにまに、路四、五町も来ると覚しき頃、忽ち鉄砲の音耳近く聞えつ、燐火は消えて見えずなりぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)