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たましひ
ふりがな文庫
“
魂魄
(
たましひ
)” の例文
「あの色男野郎の彌八ですよ。許嫁のお君が殺されて三日目、
魂魄
(
たましひ
)
がその邊に迷つてゐるのに、もう、變な素振りをするぢやありませんか」
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
揉
(
もん
)
でゐた所ろ
今方
(
いまがた
)
お
休
(
やす
)
みなされたのでやう/\出て
參
(
まゐ
)
りましたと云つゝ上りて
火鉢
(
ひばち
)
の
側
(
そば
)
身をひつたりと
摺寄
(
すりよせ
)
て
坐
(
すわ
)
れば庄兵衞
魂魄
(
たましひ
)
も飛して
現
(
うつゝ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
風の温く
軟
(
やはらか
)
きが袂軽き衣を吹き皺めて、人々の
魂魄
(
たましひ
)
を快き睡りの郷に誘はんとする時にだも、此花を見れば我が心は天にもつかず地にもつかぬ空に漂ひて
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
どうせ
私
(
わし
)
などは明日にも死ぬ身だから、
関
(
かま
)
やせぬやうな物で御座りますが、子供等が可哀さうでなりませぬ、何卒、旦那——長二様、一つ長左衛門様の
魂魄
(
たましひ
)
を
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
どうかして、主婦に見られないやうに、あの杉の葉を吊した店の前を通り過ぎることは出來ないものかと、
八歳
(
やつつ
)
の文吾が小ひさい
魂魄
(
たましひ
)
は、いろ/\に苦勞を始めた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
其夜自分は早くから
臥床
(
ふしど
)
に入つたが、放火の主犯者が死んで了つたといふ考へと、連夜眠らなかつた
疲労
(
つかれ
)
とは苦もなく自分を
華胥
(
くわしよ
)
に誘つて、自分は殆ど
魂魄
(
たましひ
)
を失ふばかりに熟睡して了つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
悪い
請求
(
たのみ
)
をさへすらりと聴て呉れし上、胸に
蟠屈
(
わだかま
)
りなく
淡然
(
さつぱり
)
と
平日
(
つね
)
のごとく
仕做
(
しな
)
されては、清吉却つて
心羞
(
うらはづ
)
かしく、
何
(
どう
)
やら
魂魄
(
たましひ
)
の底の方がむづ痒いやうに覚えられ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
たゞ側に近く人が立つてゐるといふ
氣色
(
けはひ
)
を、文吾の狸寢入りの
魂魄
(
たましひ
)
に感じさせるだけであつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
如何に
零落
(
れいらく
)
なせばとて取戻せしと云れんことも
無念
(
むねん
)
なり又是迄年來
磨上
(
みがきあげ
)
たる武士の
魂魄
(
たましひ
)
何ぞ再び
變
(
へん
)
ずる事あらんや
渇
(
かつ
)
しても
盜泉
(
たうせん
)
の水を
飮
(
のま
)
ず熱しても
惡木
(
あくぼく
)
の
蔭
(
かげ
)
に
舍
(
やど
)
らず君子は
清貧
(
せいひん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夕日
斜
(
なゝめ
)
に差し入る狭き
厨房
(
くりや
)
、今正に
晩餐
(
ばんさん
)
の準備最中なるらん、
冶郎蕩児
(
やらうたうじ
)
の
魂魄
(
たましひ
)
をさへ
繋
(
つな
)
ぎ留めたる
緑
(
みどり
)
滴
(
したゝ
)
らんばかりなる
丈
(
たけ
)
なす黒髪、グル/\と引ツつめたる
無雑作
(
むざふさ
)
の
櫛巻
(
くしまき
)
、
紅絹裏
(
もみうら
)
の長き袂
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
十兵衞いよ/\五重塔の
工事
(
しごと
)
するに定まつてより寐ても起きても
其事
(
それ
)
三昧
(
ざんまい
)
、朝の飯喫ふにも心の中では塔を
噬
(
か
)
み、夜の夢結ぶにも
魂魄
(
たましひ
)
は九輪の頂を繞るほどなれば
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
喰べたくなるのは自然だ。欲しいものを取つて喰べるのは當り前だ、といふ考へは、文吾の
魂魄
(
たましひ
)
に深く/\植ゑ付けられて、なか/\拔き去ることの出來ぬものになつてゐる。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
盡
(
つく
)
して
待遇
(
もてなし
)
けるにぞ吉之助は
斯
(
かゝ
)
る遊びの初めて
成
(
なれ
)
ば
魂魄
(
たましひ
)
は
天外
(
てんぐわい
)
に
飛
(
とび
)
只
(
たゞ
)
現
(
うつゝ
)
の如くに
浮
(
うか
)
れ是よりして雨の夜雪の日の
厭
(
いと
)
ひなく
通
(
かよ
)
ひしかば初瀬留も
憎
(
にく
)
からず思ひ吉之助ならではと今は
互
(
たがひ
)
に
深
(
ふか
)
く
云交
(
いひかは
)
し一
日
(
にち
)
逢
(
あは
)
ねば千秋の思ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二人が
舎利
(
しやり
)
も
魂魄
(
たましひ
)
も粉灰にされて消し飛ばさるゝは、
拙
(
へた
)
な細工で世に出ぬは恥も却つて少ないが、遺したものを弟子め等に笑はる日には馬鹿親父が息子に異見さるゝと同じく
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ふけ行くまゝに霜冴えて
石床
(
せきしやう
)
いよ/\冷やかに、
万籟
(
ばんらい
)
死して落葉さへ動かねば、
自然
(
おのづ
)
と
神
(
しん
)
清
(
す
)
み
魂魄
(
たましひ
)
も氷るが如き心地して何とはなしに物凄まじく、尚御経を細〻と誦しつゞくるに
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
猶其上に道理無き
呵責
(
かしやく
)
を受くる
憫然
(
あはれさ
)
を君は何とか見そなはす、
棄恩
(
きおん
)
入無為
(
にふむゐ
)
の
偈
(
げ
)
を唱へて親無し子無しの
桑門
(
さうもん
)
に入りたる上は是非無けれども、知つては
魂魄
(
たましひ
)
を煎らるゝ思ひに夜毎の夢も安からず
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
“魂魄”の意味
《名詞》
魂 魄 (こんぱく)
死者のたましい。霊魂。
(出典:Wiktionary)
“魂魄”の解説
魂魄(こんぱく)は、中国の道教や伝統中国医学における霊についての概念である。
転じて、死者の霊を意味することもある。
(出典:Wikipedia)
魂
常用漢字
中学
部首:⿁
14画
魄
漢検1級
部首:⿁
15画
“魂魄”で始まる語句
魂魄燈
魂魄神
魂魄肉体