“万籟”の読み方と例文
旧字:萬籟
読み方割合
ばんらい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
万籟ばんらいげきとして声をむ、無人の地帯にただ一人、姉の死体を湖の中へ引きり込むスパセニアの姿こそ、思うだに凄愴せいそう極まりない。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
星一つ一つこずえに下り、梢の露一つ一つ空に帰らんとす。万籟ばんらいせきとして声なく、ただ詩人が庭の煙のみいよいよ高くのぼれり。
(新字新仮名) / 国木田独歩(著)
万籟ばんらい静まり返った比叡と鞍馬の山ふところ、いずこからともなく、人が一個出て来た、その物音で、足をとどめてその気配に耳を傾けました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)