“こころ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ココロ
語句割合
52.2%
14.5%
精神7.2%
6.2%
5.0%
心情0.9%
0.8%
意志0.6%
0.6%
意識0.6%
心胸0.5%
心理0.5%
心臟0.5%
0.5%
0.5%
意味0.5%
心境0.3%
魂魄0.3%
0.3%
心中0.3%
意中0.3%
0.3%
0.3%
心神0.2%
神気0.2%
主旨0.2%
事情0.2%
人情0.2%
厚意0.2%
好意0.2%
心事0.2%
心内0.2%
心奥0.2%
心意0.2%
心状0.2%
心算0.2%
心胆0.2%
心臓0.2%
心裡0.2%
心象0.2%
心路0.2%
心霊0.2%
心靈0.2%
心魂0.2%
志繰0.2%
念頭0.2%
情念0.2%
情思0.2%
情緒0.2%
情調0.2%
0.2%
意思0.2%
感情0.2%
0.2%
春情0.2%
気持0.2%
注意0.2%
痛心0.2%
神経0.2%
胸底0.2%
良心0.2%
苦衷0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「なにか、こころからむすめよろこばせるようなうつくしいものはないものか。いくらたかくてもかねをばしまない。」と、両親りょうしんは、ひとはなしました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ひとたび落城を見てからでは万事休すです。御最期か、生捕いけどりの憂き目を見るかの二つを出ません。おこころあるなればいまのうちで」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多年の骨折から漸く得意の時代に入ろうとしている民助の前に、岸本は弟らしくむかい合った。つくづく彼は自分の精神こころの零落を感じた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
やがて胸はその花のごとく燃ゆるをおぼえ、こころはかの帆影の星のごとくただよふをわかざらむとす、そは佐用姫さよひめの古事を憶ひいづればなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ソレが喫べられなければ私の喫べ掛けを半分喫べなさい、毒はないじゃないかと云うようなことでこころみた所が、ソコでくい出した。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あわれむべきかなヨブ! 彼は神に攻められつつありと感じて、死ぬる前数日間なりと神がその手をゆるめ給わんことを乞うたのである。その心情こころまことに同情すべきでないか。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
朝廷においてはその権のなかばを譲りたまうことなれば、こころよく許可したまうべきやいなや、いまだ知るべからず。
デュアック (暫らく黙して後、王の腕に自分の手を載せて)神々は人間の意志こころでございましょう、善にも悪にも、神々が人間の意志こころでございましょう。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
世高はその索に手をやってちょっと引きこころみてからのぼって往った。世高の体はやがて牆の上になったがすぐ見えなくなった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかも、今やそれが矢代の意識こころにも迫って来たのである。たとい千鶴子が直接彼に云わなくとも、何ものかが千鶴子を通し、指で彼をさし示して云ったのと同じだった。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
『まあおじいさまでございますか!』わたくしおぼえずきて、祖父じじかたすがってしまいました。帰幽後きゆうごわたくしくらくら心胸こころに一てん光明あかりしたのはじつにこのとき最初さいしょでございました。
ある時はフロイドに行きもろ人のあやしき心理こころさぐらむとする
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
戀の矢心臟こころに傷を穿ち
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
その起因する所が文芸その物と何らの交渉なき政府の威力にもとづくだけに、猶更なおさらの悪影響を一般社会——ことに文芸にこころざす青年——に与うるものである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
切切として湧き上るこの感謝のこころ、抑へても抑へきれぬこの念。
なぜ私のような見すぼらしい駅夫風情ふぜいに、あんな意味こころのありそうな眼つきをするのだろうと思うとともに今朝もまた千代子を限りなく美しい人と思うた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
見つけてはいけない。わしなどは、いわゆる和歌詠うたよみの風流僧にとどまるのだから、そうした心境こころに、小さい安住を見つけているのじゃ。やはり、おもとの今のもだえのほうが尊い——
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いましの行方へ魂魄こころまどふ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
「むしの知らせか、昨夜は、二度も夜半よなかに眼がさめて、何となく、こころおどろいてならなかったが……」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一其方そち心中こころを察しない不粋ぶすゐな仕打ぢや、ナ、浜子
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あいつ、俺の意中こころを知ったら、よもやああまでまこうとはしなかったろう。いや、それを感づいたればこそ、あんなに智恵を絞って後白浪あとしらなみと逃げたのかもしれぬ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
子供のこころ
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
『然し君、キリストは何と云つた?……キリストは君等のこころには居らぬ。教会は皆キリストの敵だ』
里人のかたるを聞けば、汝一旦ひとたび愛慾あいよく心神こころみだれしより、たちまち鬼畜に一二五堕罪だざいしたるは、あさましともかなしとも、一二六ためしさへまれなる悪因あくいんなり。
手に手をとりくみて日を給ふが、つひ心神こころみだれ、生きてありし日にたがはずたはぶれつつも、其の肉の腐りただるるををしみて、肉を吸ひ骨をめて、四七はたくらひつくしぬ。
神気こころ疲労つかれが極点に達した時、相手は自然ひとりでに仆れるか、自暴自棄に斬りかかって来るか、二つに一つに出ることは解っていた。そこを目掛け、ただ一刀に仕止めてやろう。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しぼんだ朝顔を逆さに懸けたような形の紙帳の、そのがくにあたる辺を睨み、依然として刀を構えていたが、次第に神気こころが衰え、刀持つ手にしこりが来、全身に汗が流れ、五体からだに顫えが起こり
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
コノール 詩人どものうた主旨こころはどんなものであろうか?
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
われには少しもこの夜の送別会に加わらん心あらず、深き事情こころも知らでたださかんなる言葉放ち酒飲みかわして、宮本君がこのこうを送ると叫ぶも何かせん。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
人情こころ知る老人よ、早く行って
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
朝夕あけくれ黄金丸が傍にかしずきて、何くれとなく忠実まめやかに働くにぞ、黄金丸もその厚意こころよみし、なさけかけて使ひけるが、もとこの阿駒といふ鼠は、去る香具師こうぐしに飼はれて、種々さまざまの芸を仕込まれ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
けれども、性来執拗ごうじような銀は、折角の好意こころも水の泡にしてしまつて、きつぱりその親切を、はねつけた。小気味よく承知しなかつた。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
わが持座もちざを奪われぬために、他座で開演した心事こころに同情のあった結果は八千円の利益を見、それだけは償却したが、残る四千円のために彼らは苦しみぬいた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ただし心内こころに恐るべき剣を収めて居ることは事実である。これがごく大体の気質の分け方ですが、カムの中にもマンカム(地名)もあればバーアもありツァルンもある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ことに複雑した心理の、近代人の、しかも気の変りやすい、動きやすい女性の心奥こころの解剖は、とても、不可能であると思っている。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
宮部は、純吉を浮きたゝせてゞもやるらしい心意こころで、そんなことを口走つて彼の前をかすめ通つた。
明るく・暗く (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ややもすれば年老としおいて女の役の無くなるころのぞむと奇妙きみょうにも心状こころ焦躁じれたり苛酷いらひどくなったりしたがるものであるから、この女もまたそれの時に臨んでいたせいででもあろうか
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔のままに残っている先祖から譲られた廃屋あばらやに住み、再び近所の子供を集めて、名賢の教えを説く傍山野の間を跋渉して、努めて心胆こころを鍛錬した。
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
およぐひとの心臓こころはくらげのやうにすきとほる
秋元の年代記へ特書せねばならぬほどの不思議に、女房は心裡こころでます/\疑って居たが、饒舌しゃべるを以て達弁とする隣室の五島に比べれば、口数は三分一にも足らぬが
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
心象こころ上の生理作用です。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
此武藤は兼而江戸に遊びし頃、実に心路こころ安き人なれバ、誠によろこびくれ候よし。旧友のよしミハ又かたじけなきものにて候。其私の存念ハ別紙に指上さしあげ候。御覧可遣候。
ひとの心靈こころにまさぐりしづむ
蝶を夢む (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
心魂こころも今は空になり、其処そこ此処ここかと求食あさるほどに、小笹おざさ一叢ひとむら茂れる中に、ようやく見当る鼠の天麩羅てんぷら。得たりと飛び付きはんとすれば、忽ち発止ぱっしと物音して、その身のくびは物にめられぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
するとおとこいたって志繰こころたしかな、やささしい若者わかもので、ほかおんななどにはもくれず、かたかた決心けっしんをしてることがよくわかりました。
金眸も常に念頭こころけゐて、後日の憂ひを気遣ひし、彼の黄金丸を失ひし事なれば、その喜悦よろこびに心ゆるみて、常よりは酒を過ごし、いと興づきて見えけるに。聴水も黒衣も、ここ先途せんど機嫌きげんを取り。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
が、不思議ふしぎなもので、だんだん修行しゅぎょうむにつれて、ドーやら情念こころ発作ほっさ打消うちけしてくのが上手じょうずになるようでございます。それがつまり向上こうじょうなのでございましょうかしら……。
山間さんかん湖水こすいのようにった、気高けだかひめのおかおにも、さすがにこのとき情思こころうごきがうす紅葉もみじとなってりました。わたくしかまわずいつづけました。——
年は二十七、八でもあろうか、手入れの届いた、白い、なめし革のような皮膚は、男の情緒こころを悩ますに足り、受け口めいた唇は、女形おやまのように濃情のうじょうであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人間の力では打ち消す事の出来ない悲しい執念の情調こころがこもっている。それは恐らく久能自身にも心付かなかったであろう。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やがてはわがその頃の作品の批判に移りて、かかる種類のものにては笠森かさもりせんが一篇ことば最もおだやかにこころ最もやはらかに形また最もととのひしものなるべしと語られけり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
おれの手も眼も、もはや意思こころどおりにはならなくなっていた。おれはまるで他人のように自分自身を眺め、そして結果がどうなろうとも、自分の行動に盲従する外はなかった。
ピストルの蠱惑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
見せて驚かしてやりたいと思わないでもなかったけれ共仕事に段々気が乗るにしたがって肇に部屋を見せてやりたいなんかと云う気持が感情こころの裡から抜け出して仕舞った。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
霎時しばらく聞かせたまへ。我今かりかたちをあらはしてかたるといへども、神にあらず仏にあらず、もと一〇五非情ひじやうの物なれば人と異なるこころあり。
また貧者では、労働のつかれ、あしたの米ビツ、また、せまい屋根の下では、病人やら子供やらで、しんそこ女房に春情こころをゆるし、うつつを抜かすわけにもゆかない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして、その動悸は肉体をいためつけるような苦しいものがともなっている場合がある。よその奥さんの気持ちの中に、こんな気持こころはミジンも湧いて来ないものだろうか。
恋愛の微醺 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「二人ながら安心いたせ! 二人の希望を叶え、拙者、五郎蔵はじめ、五郎蔵の乾児どもを、斬って斬って斬りまくり、頼母殿の命はきっと救う! ……注意こころいたせ!」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、またころりと横になりながら、心からそう思って、余りうるさく訊くのも、却って女の痛心こころに対して察しの無いことだから、さも余処よその女のことのように言ってまたしても斯う尋ねて見た。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
けだし小金もたまって、家だけは我物にしたというから、人一倍、むしろ十倍、宵啼よいなき神経こころを悩まして、六日七日も寝られず、取り詰めたはてが逆上をしたに違いはないので。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
洋燈らんぷの光と瞬きの数を比べながら筆を執ったが、さすが良心こころに咎められて、済まないことゝ思うとその手紙が止めたくなり
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「いや、なぜということもない。辛いのは誰しも同一おんなじだ。お前さんと平田の苦衷こころを察しると、私一人どうして来られるものか」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
わたしのこころ志はたぎる
飢餓の中から (新字新仮名) / 中野鈴子(著)
卑怯ひきょうだ、此奴こいつ! はじめからそれは求めぬちかいであった。またそれを求むる位なら、なぜ、行方も知れずとらうる影なきその人を、かくまで慕う。忘れられぬはそのこころであろう。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)