“胸底”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きょうてい30.0%
むなそこ30.0%
きようてい10.0%
こころ10.0%
むなぞこ10.0%
むね10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
江戸木板画の悲しき色彩が、全く時間の懸隔けんかくなく深くわが胸底きょうていみ入りて常に親密なるささやきを伝ふる所以ゆえんけだし偶然にあらざるべし。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わたくしの胸底むなそこには先刻お雪がなかば冗談らしく感情の一端をほのめかした時、わたくしの覚えた不安がまだ消え去らずにいるらしい……わたくしはお雪の履歴については殆ど知るところがない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
とまれ、十年前ねんまへあきの一乳色ちゝいろ夜靄よもやめた上海シヤンハイのあの茶館ツアコハン窓際まどぎはいた麻雀牌マアジヤンパイこのましいおといまぼく胸底きようていなつかしい支那風しなふうおもさせずにはおかない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
灰汗あく洪水でみず胸底むなぞこ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
じろり——茶の間に待っている客を横眼に白眼にらんで、奥へ通ろうとした。が、その時、ふと壁辰の胸底むねを走り過ぎたものがあって、彼は、どきりとした。思わず、足が停まった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)