胸底むなそこ)” の例文
わたくしの胸底むなそこには先刻お雪がなかば冗談らしく感情の一端をほのめかした時、わたくしの覚えた不安がまだ消え去らずにいるらしい……わたくしはお雪の履歴については殆ど知るところがない。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
豐島さんのは今はもうわすれてしまつたが、とにかく球突塲たまつきばといふものはちよつとかはつた人間的げんてき空氣くうきたゞよふものでたまひゞきの内には時とするとめう胸底むなそこみわたるやうな一しゆの神祕感ひかんかんじられる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
胸底むなそこで笑いたくなることもある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)