心境こころ)” の例文
以前これまでの拙者なりゃ、その方より紙帳へ近附いたからには憂き目を見たは自業自得と、突っ放すなれど、現在いまの拙者の心境こころではそれは出来ぬ。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見つけてはいけない。わしなどは、いわゆる和歌詠うたよみの風流僧にとどまるのだから、そうした心境こころに、小さい安住を見つけているのじゃ。やはり、おもとの今のもだえのほうが尊い——
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この頼母の心境こころは、地獄さながらであったが、帳中へ引き入れられたお浦の心境も、地獄さながらであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
喚きちらし、地団駄を踏む五郎蔵の心境こころも、苦しいものに相違なさそうであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)