こころ)” の例文
そこでそれ、お前達が人にめられるために私等わっちらに税金をお出しなされる。今日はそれを取上げに来やした。こころありだけ寄来よこさっせえ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その起因する所が文芸その物と何らの交渉なき政府の威力にもとづくだけに、猶更なおさらの悪影響を一般社会——ことに文芸にこころざす青年——に与うるものである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
娘はたちまちその蒼白く美しい顔に、会心かいしんえみもらして、一礼を述べてのちわたしがほんのこころばかりの御礼の品にもと、かねてその娘が死せし際に、そのひつぎに納めたという、その家に古くより伝わった古鏡こきょう
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)