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精神
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ふりがな文庫
“
精神
(
こころ
)” の例文
斯うして半町も行った頃、大きな建物の前へ出たが、もう其時は脚ばかりで無く、体も
精神
(
こころ
)
も疲れ果てて、歩こうにも足が出なかった。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多年の骨折から漸く得意の時代に入ろうとしている民助の前に、岸本は弟らしく
対
(
むか
)
い合った。つくづく彼は自分の
精神
(
こころ
)
の零落を感じた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
剣と人倫、剣と仏道、剣と芸術——あらゆるものを、一道と観じ来れば——剣の
真髄
(
しんずい
)
は、
政治
(
まつりごと
)
の
精神
(
こころ
)
にも合致する。……それを信じた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身体
(
からだ
)
は弱いけれども、
精神
(
こころ
)
の強い人はある。しかし
霊性
(
たましい
)
の強い人は少ないものである。私たちの子供らをこの三つの力の強い人にしたい。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
その
時分
(
じぶん
)
の
不安
(
ふあん
)
、
焦燥
(
しょうそう
)
、
無念
(
むねん
)
、
痛心
(
つうしん
)
……
今
(
いま
)
でこそすっかり
精神
(
こころ
)
の
平静
(
へいせい
)
を
取
(
と
)
り
戻
(
もど
)
し、
別
(
べつ
)
にくやしいとも、
悲
(
かな
)
しいとも
思
(
おも
)
わなくなりましたが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
実はその手柄話を聞きたいが
精神
(
こころ
)
で、平馬殿に申し含めて、
斯様
(
かよう
)
に引止めさせた訳じゃが……門弟共の心掛にもなるでのう
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なんでもないのにさういふ雨垂れ落ちを古くとり
統
(
す
)
べた心が、細かいところはどこまでも微かく行つた茶庭の
精神
(
こころ
)
を、しぶさ以上のしぶさで感じた。
故郷を辞す
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
祖母の話によると、君子の生まれるまでの母は
精神
(
こころ
)
というものを
前
(
さき
)
の世に忘れてきた人のように、従順ではあったが、
阿呆
(
あほう
)
のようにも見えたそうな。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
精神
(
こころ
)
は紛たる因縁に
奪
(
と
)
られで必死とばかり勤め励めば、
前
(
さき
)
の夜源太に面白からず思われしことの気にかからぬにはあらざれど、日ごろののっそりますます長じて
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「出して来ねえのか? そんなら自分で出して来るからいいで。
貴様
(
きさま
)
まで
精神
(
こころ
)
が腐りやがった。」
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
お母さんとて
精神
(
こころ
)
はただ民子のため政夫のためと一筋に思ってくれた事ですから、よしそれが思う様にならなかったとて、民子や私等が何とてお母さんを恨みましょう。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
なんの興味もない、針の先ほどの刺激もない一日々々の中に、その身が浸つて居ることを思ふと、体も
精神
(
こころ
)
もげんなりしてしまつて、何も彼もすつかり
倦
(
だ
)
れきつてしまふ。
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
換言すれば、われ等の教訓が、正しき理性の判断に
堪
(
た
)
えるか?
精神
(
こころ
)
の
糧
(
かて
)
として
何
(
ど
)
れ丈の価値を有するか?——われ等の教訓の存在理由は、これを
以
(
もっ
)
て決定すべきである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
丸テーブルに
肱
(
ひじ
)
を持たして、この静かさの夜にまさる境に、はばかりなき
精神
(
こころ
)
をおぼれしめた。この静かさのうちに、美禰子がいる。美禰子の影が次第にでき上がりつつある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
只もう可愛い
情夫
(
おとこ
)
、それは彼女の肉と
精神
(
こころ
)
のすべてを捧げた恋人であったのだ。彼は、逆上した瞬間に人を
殺
(
あや
)
めた。しかしその恐ろしい
負目
(
おいめ
)
は、もう払ってしまったではないか。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
そうして私は、唯柔かい可愛らしい
精神
(
こころ
)
になって、蒲団を畳む手伝いまでしてやった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
詰り、私の
精神
(
こころ
)
も、徒歩旅行が企てたくなつたのだ、喧嘩の対手が欲しくなつたのだ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
仔細
(
しさい
)
らしく筮竹を捧げて、じっと
精神
(
こころ
)
を鎮めるこなしよろしくあって、老人は筮竹を二つに分けて一本を左の小指に、数えては算木をほどよくあしらって、首を傾けることしばらく
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところで、身体の病気を治療するには、外科、内科のいずれを問わず、医者が必要のように、
精神
(
こころ
)
の病気を
療
(
いや
)
すにも、やはり
医者
(
せんせい
)
を要します。いずれも「先生」という医者が必要です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それは、怖れにも似た
精神
(
こころ
)
の動揺であつたが、それはまた同時に、天の声を聞いたとも云へるやうな不思議な麻痺状態に違ひなかつた。彼女は、とられた手に力をいれて握り返さうとした。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
これぞこれ、
汝
(
な
)
に顕れしアラビヤが
祖国
(
くに
)
の
精神
(
こころ
)
ぞ!
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
お富や子供らのこと考えるたびに、伊之助の
腋
(
わき
)
の下には冷たいねばりけのある汗がわく。その汗は病と戦おうとする彼の
精神
(
こころ
)
から出る。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おことばの数々、よう分りました。——なれどお案じ下さるまい、物心ついてより持ち馴れている刀なので、その刀の
精神
(
こころ
)
を
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法術と云うてもその
基本
(
もと
)
は
精神
(
こころ
)
の工夫の鍛錬じゃ。
精神
(
こころ
)
が一ヵ所に集まって自我を一切忘却し、他物に自身を移した時、そこに法術が現われる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多くの人や子供をみているうちに、
身体
(
からだ
)
は十分に強くても
精神
(
こころ
)
の力の弱い人もあり、理性も研究心も強く鋭いのに
霊性
(
たましい
)
の力の非常に弱い人もある。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
津の国を吹く風の音いろが
薄
(
すすき
)
の穂がしらをしずかにゆすっては、
迥
(
はる
)
かにすぎてゆくような遠い思いであった。とらえがたいものが物の
精神
(
こころ
)
になって見えて来た。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
平生
(
へいぜい
)
はちょいちょい
私
(
わたくし
)
のところへもお
詣
(
まい
)
りに
来
(
く
)
る、
至
(
いた
)
って
温和
(
おんわ
)
な、そして
顔立
(
かおだち
)
もあまり
悪
(
わる
)
くはない
女
(
おんな
)
なのでございますのに、
嫉妬
(
しっと
)
の
為
(
た
)
めには
斯
(
こ
)
んなにも
精神
(
こころ
)
が
狂
(
くる
)
って
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
民子のいやだという
精神
(
こころ
)
はよく判っているけれど、政夫さんの方は年も違い先の永いことだから、どうでも某の家へやりたいとは、戸村の人達は勿論親類までの希望であった。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
これらはみんな
汝
(
きさま
)
に預くる、見たらば何かの足しにもなろ、と
自己
(
おの
)
が
精神
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
めたるものを惜しげもなしに譲りあたうる、胸の広さの頼もしきを
解
(
げ
)
せぬというにはあらざれど
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、詰り私は、身體は一時間も暇が無い程忙がしいが、爲る事成す事思ふ壺に
篏
(
はま
)
つて、鏡の樣に
凪
(
な
)
いだ海を十日も二十日も航海する樣なので、何日しか
精神
(
こころ
)
が此無聊に
倦
(
う
)
んで來たのだ。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「病は気から」ともいうように、私どもは
健康
(
たっしゃ
)
な
精神
(
こころ
)
によって、身体の病気を克服してゆかねばなりません。だから、医者と薬と養生の三つのなかで、いちばん必要なものは養生です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
三吉は家の
内部
(
なか
)
を見廻した。彼とお雪の間に起った激しい感動や
忿怒
(
ふんぬ
)
は通過ぎた。愛欲はそれほど彼の
精神
(
こころ
)
を動揺させなく成った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一人と一人の太刀打すら、あれは剣でするのではない、
精神
(
こころ
)
でする。いわんや、戦を眼でするか、眼で采配がとれようか。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが余りにも浮藻の
精神
(
こころ
)
が、その容貌や姿と同じに、
清浄
(
きよらか
)
であり無邪気だったので、あべこべに感化されてしまった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
やや極端にいえば
身体
(
からだ
)
と
精神
(
こころ
)
と
霊性
(
たましい
)
と、この三つを含む活力を強くしてやりさえすれば、そのほかのことは何もいらないと思ってもよいほどである。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
が、その
中
(
うち
)
、あの
最初
(
さいしょ
)
の
精神
(
こころ
)
の
暴風雨
(
あらし
)
が
次第
(
しだい
)
に
収
(
おさ
)
まるにつれて、
私
(
わたくし
)
の
傷
(
きずつ
)
けられた
頭脳
(
あたま
)
にも
少
(
すこ
)
しづつ
人心地
(
ひとごこち
)
が
出
(
で
)
てまいりました。うとうとしながらも
私
(
わたくし
)
は
考
(
かんが
)
えました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
が、詰り私は、身体は一時間も暇が無い程急がしいが、為る事成す事思ふ壺に篏つて、鏡の様に凪いだ海を十日も二十日も航海する様なので、何日しか
精神
(
こころ
)
が此
無聊
(
ぶれう
)
に倦んで来たのだ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それが所詮「
業
(
ごう
)
」です。はては、他人さまにも迷惑をかけ、
自己
(
おのれ
)
も苦しむのです。経済上の苦しみはいうまでもありません。身体も
精神
(
こころ
)
も、苦しめるようになるのです。これがいわゆる「苦」です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
樹はみな
精神
(
こころ
)
にあつまり
抒情小曲集:04 抒情小曲集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
容易に三吉が
精神
(
こころ
)
の動揺は静まらなかった。彼は井戸端へ出て、冷い水の中へ手足を
突浸
(
つきひた
)
したり、乾いた髪を湿したりして来た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いやいや、筑前どのには、それが結構茶の
精神
(
こころ
)
に
適
(
かな
)
っているものでしょう。無法の法です。無規格の中の大規格です。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「常陸は立派な侍じゃ、器量は五右衛門には劣っているが
精神
(
こころ
)
の潔白は
類
(
たぐい
)
ない。立派な主人を持たせたいものじゃ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
どうかすると自分ながら驚くばかり
放肆
(
ほしいまま
)
な想像——そういうものが抑えに抑えようとしている
精神
(
こころ
)
の力を破って紙の上に
迸
(
ほとばし
)
って出て来ていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「この国のあらん限り、世の
相
(
さま
)
はどう変ろうと、剣の道——ますらおの
精神
(
こころ
)
の道が——無用な
技事
(
わざごと
)
になり終ろうか」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はすっかり驚きもしたが、其拍子に
精神
(
こころ
)
が引締りもした。で彼は素早く眼を配って
四辺
(
あたり
)
の様子を窺った。其処は何うやら裏庭らしく桐の木が
矗々
(
すくすく
)
と立っている。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その日、曾根は興奮した
精神
(
こころ
)
の
状態
(
ありさま
)
にあった。どうかすると、
悲哀
(
かなしみ
)
の底から浮び上ったように笑って、男というものを嘲るような語気で話した。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この君の
精神
(
こころ
)
をとおし、この殿の将来をとおし、自分の理想は、何らかの
象
(
かたち
)
で世に行われよう。自分はこの
喬木
(
きょうぼく
)
を大ならしめる根もとの
肥料
(
こえ
)
であっていい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
時
(
じ
)
引締まった
精神
(
こころ
)
も、余りの空腹と
疲労
(
つかれ
)
の
為
(
た
)
めに、復もだらけて朦朧となり、虫の好いこんな事を考えながら、彼はフラフラと入口から廊下の方へ
這入
(
はい
)
って行った。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一時
(
いっとき
)
も油断をなさらない
真面目
(
まじめ
)
な
精神
(
こころ
)
の旦那様が、こうした御顔でいらっしゃるということは、不思議なようでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
吾々の
逝
(
ゆ
)
く日に、三平殿も
真
(
まこと
)
の死を遂げるというもの。……この純情な
精神
(
こころ
)
は、拙者たちが血の中にうけて、
屹度
(
きっと
)
、御子息の薄命を犬死にはおさせ申さぬ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“精神”の意味
《名詞》
物質、肉体に対しての心、魂。
知性的、理性的な心の働き。
根本の意味。最も大切な目標。
(出典:Wiktionary)
“精神”の解説
精神(せいしん、en: Spirit)は、心、意識、気構え、気力、理念、などといった意味を持つ言葉。
(出典:Wikipedia)
精
常用漢字
小5
部首:⽶
14画
神
常用漢字
小3
部首:⽰
9画
“精神”で始まる語句
精神病者
精神的
精神上
精神病
精神統一
精神萌芽説
精神萌芽
精神病院
精神化学
精神病系統