故郷を辞すこきょうをじす
家のものが留守なんで一人で風呂の水汲をして、火を焚きつけいい塩梅にからだに温かさを感じた。そして座敷に坐り込んで熱い茶を一杯飲んだが、庭さきの空を染める赤蜻蛉の群をながめながら常にない静かさを感じた。空気がよいので日あたりでも埃が見えないく …