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ふりがな文庫
“
姿態
(
しな
)” の例文
誇らしげに胸の下に圧している高氏の面をながめる様といい、四肢でするその行為といい、美獣が餌を
弄
(
なぶ
)
るときの
姿態
(
しな
)
とおなじだった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忠一といふ、今度尋常科の三年に進んだ校長の長男が、用もないのに
怖々
(
おづ/\
)
しながら入つて來て、甘える樣な
姿態
(
しな
)
をして健の卓に倚掛つた。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
蛇のやうに、醜悪な
姿態
(
しな
)
をつくつて、街を歩いてゐる女をよく見かけるが、あれなどは酢を飲みすぎた女だな。
泥鰌
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
サルンで子供たちと戯れている時でも、葉子は自分のして見せる
蠱惑的
(
こわくてき
)
な
姿態
(
しな
)
がいつでも
暗々裡
(
あんあんり
)
に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此頃になると、感情のあらわし方も
細
(
こまか
)
く、
姿態
(
しな
)
も
濃
(
こま
)
やかになっていたものであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
背中をわざと丸くするような
姿態
(
しな
)
をする、髪の毛が一本ならべて
嘗
(
な
)
めたような、おおかめさんのお供をしてきた大番頭の細君は、御殿づとめをしたという、大家の女房さんたちのするような
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
黒んぼの奴、すっかりお調子に乗って、いよいよ出でていよいよ妙ちきりんな
姿態
(
しな
)
をする。跳ねる、飛ぶ、眼で
媚
(
こ
)
び、股でひねる。日の丸も負けず劣らずである。味をやる、きいきい声を出す。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
忠一といふ、今度尋常科の三年に進んだ校長の長男が、用もないのに
怖々
(
おづおづ
)
しながら入つて来て、甘える
様
(
やう
)
の
姿態
(
しな
)
をして健の
卓
(
つくゑ
)
に
倚掛
(
よりかか
)
つた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「こうして、わしが持っていて上げる。あなたは女のようじゃ。人が問うたら、女じゃと答えなされ。女のように
姿態
(
しな
)
なされ。よいかの」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蛇のやうに、醜悪な
姿態
(
しな
)
をつくつて、街を歩いてゐる女をよく見かけるが、あれなどは酢を飲みすぎた女だな。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
これは葉子が人の注意をひこうとする時にはいつでもする
姿態
(
しな
)
である。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「じゃあ、わたしのほうが、九ツも上だな。お針は上手だし、礼儀作法といい、人当りの
姿態
(
しな
)
もよし……、
武大
(
ぶだ
)
さんとやらが
羨
(
うらや
)
ましいね」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先刻
(
さつき
)
膳を運ぶ時、目八分に捧げて、眞先に入つて來て、座敷の中央へ突立つた儘、「マア怎うしよう、私は。」と、仰山に驚いた
姿態
(
しな
)
を作つた
妓
(
こ
)
であつた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
蘭沢は、大きな声で誰かに命令した、女が素つ裸で
姿態
(
しな
)
をつくるのはなか/\難かしいものらしい、お麗さんは滑稽な感じに全身をくねらしてモデル台の上に現れた。
裸婦
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
女は兼好と枕をならべて、初めのうちは一つの
姿態
(
しな
)
をもっていたが、やがてすっかり安心感を
四肢
(
しし
)
にたるませて寝息に入った。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先刻
(
さつき
)
膳を運ぶ時、目八分に捧げて、
真先
(
まつさき
)
に入つて来て、座敷の中央へ突立つた儘、「マア怎うしよう、私は。」と、仰山に驚いた
姿態
(
しな
)
を作つた
妓
(
こ
)
であつた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
蘭沢は、大きな声で誰かに命令した、女が素つ裸で
姿態
(
しな
)
をつくるのはなか/\難かしいものらしい、お麗さんは滑稽な感じに全身をくねらしてモデル台の上に現れた。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
変り果てた朱実には、つい一年余ほど前の色も
姿態
(
しな
)
もなかった。汚い
負紐
(
おいひも
)
で、背なかには、二歳ばかりの
嬰児
(
あかご
)
を背負っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不容貌
(
ぶきりやう
)
な爲に
拾手
(
ひろひて
)
が無かつたのだとでも見るかと思つてるからなので、
其麽
(
そんな
)
女だから、何の室へ行つても、例の取て投げる樣な調子で、
四邊
(
あたり
)
構はず
狎戲
(
ざれ
)
る、妙な
姿態
(
しな
)
をする。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さまざまに羽で
姿態
(
しな
)
をつくつて
小熊秀雄全集-08:詩集(7)恋愛詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
さすがに、新妻のすがた——やわらかい
姿態
(
しな
)
——女のにおいというようなものが、善信の旅にすがれた眸を、しみじみ、見入らせるのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と私は何氣なく云つたが、ハハア、此女が、存外眞面目な顏をしてる
哩
(
わい
)
と思つたのは、ヤレ/\、これでも一種の
姿態
(
しな
)
を作つて見せる積りだつたかと氣が附くと、私は吹出したくなつて來た。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして、そのためらいの間に、孫兵衛の殺念は、さかんな獣心と代り、
眸
(
ひとみ
)
はトロトロとお綱の
姿態
(
しな
)
に
焦
(
や
)
きついていった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と私は何気なく云つたが、ハハア、此女が、存外真面目な顔をしてる
哩
(
わい
)
と思つたのは、ヤレ/\、これでも一種の
姿態
(
しな
)
を作つて見せる積りだつたかと気が付くと、私は吹出したくなつて来た。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
なお、寄りすがって、紅涙雨の如き
姿態
(
しな
)
であった。——ところへ、董卓は
朝
(
ちょう
)
から帰って来るなり、ただならぬ血相をたたえて彼方から歩いて来た。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、お芳は忽ちにして甘えた
姿態
(
しな
)
をする。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さきに登子を乗せ、高氏もすぐ
鐙
(
あぶみ
)
を踏む。登子は、かいどりを
被衣
(
かつぎ
)
にした。
袿衣
(
うちぎ
)
なので、横乗りに、自然、鞍つぼの良人に甘えたような
姿態
(
しな
)
になる。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男の尻を押し出して、あとの窓を閉め終ると、彼女はもう何食わぬ
姿態
(
しな
)
だった。しぶしぶ
蘭燈
(
らんとう
)
に明りを入れ、そしてお化粧台から
階下
(
した
)
を
覗
(
のぞ
)
いて舌打ちした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綻
(
ほころ
)
びたさを、
姿態
(
しな
)
にも胸にも秘しながら、毎日、午すこし過ぎると、江戸千家へ茶の稽古に、なにがし
検校
(
けんぎょう
)
のもとへは琴の稽古に、欠かすことなく通っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が——そういう時には、女にはモジモジしているという受身の
姿態
(
しな
)
が助けます。お蝶もそこで、娘らしい
羞恥
(
はにか
)
みを作って、男の言い出す声を待つばかりでした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が——女は、やや
姿態
(
しな
)
を曲げてわざとのようにその時
被衣
(
かずき
)
を横にして顔をかくして通った。で、綽空も
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふところに、
拳
(
こぶし
)
をこしらえながら、宅助も睨んだ眼を向けたまま、黙って、女の
姿態
(
しな
)
を見つめていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
哀れを乞うような、すがりついて泣きたいような、声なき想いを、眼と
姿態
(
しな
)
にいわせて呂布へ訴えた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
姿態
(
しな
)
に、その横顔に、将門はふと、少年の遠い遠い日、
厩舎藁
(
うまやわら
)
の蒸れるなかで、童貞の肌に初めて知った館の奴隷の女奴——蝦夷萩のおもかげを、心に思い出していた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思うと、御方はまた手を代えて、さまざまに掻き口説いたり、見るも悩ましい
姿態
(
しな
)
を見せた。男が悶々と悩み惑う時、年上の女はあらん限りの力で
煩悩
(
ぼんのう
)
の誘惑をつづける。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人に接吻を求めるような
姿態
(
しな
)
である。その
掌
(
て
)
を顔へ近づけてやると、雀は、兼好の歯ぐきに
挟
(
はさ
)
まっていた今朝の汁の実の菜ッ葉を見て、ツイと
嘴
(
くち
)
に
奪
(
と
)
るやいな喰べてしまった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
姿態
(
しな
)
を作って、横へ向き、後ろを見せ、そして武松の
椅子
(
いす
)
の廻りをそっと巡り歩いた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅絹
(
もみ
)
や、西陣や、桃山染や、お甲のにおいが
陽炎
(
かげろう
)
のように立つ。——今頃は河原の
阿国
(
おくに
)
踊りの小屋で、藤次と並んで見ているだろうと、又八はその
姿態
(
しな
)
や肌の白さを眼にえがく。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「思いつめておりました!」と、お米の
姿態
(
しな
)
が白肌の蛇のように男の胸へからみついて
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちどは小鳥の起つような
姿態
(
しな
)
をしめし、すぐ逃げ去ろうとしたかのようであった。——が、思い直したふうで、ふた足三足、近づいて来た。そして
恐々
(
こわごわ
)
身をすこしかがめて訊ねた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女はすぐ
姿態
(
しな
)
をかえた。やわらげて見せた眸は、女の大きな安心を意味していた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お軽の白い
襟
(
えり
)
、つぶらな眼、その眼から、
寧
(
むし
)
ろ求めるような
姿態
(
しな
)
が、ちらちら映る。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お蝶は、炬燵向うへフワリと坐って、その
蠱惑
(
こわく
)
な
姿態
(
しな
)
を甘えるようにくずしながら
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
於呂知は大ゲサにしかも
姿態
(
しな
)
よく道誉の方へ
仆
(
たお
)
れてそのまま彼の膝に抱きついた。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
梯子段へ
肱
(
ひじ
)
をのせて、こういう調子なり
姿態
(
しな
)
なりが、毒婦のように妖美であった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姿態
(
しな
)
、ことば、水々しさを、その母親たるおかみさんは
惚々
(
ほれぼれ
)
と見ているのだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現
(
うつつ
)
なだけに、無心なだけに——お綱の
姿態
(
しな
)
も、常より増して
媚
(
なま
)
めかしい。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さういへば、彼女の體臭にも
姿態
(
しな
)
にも、そんな風情がなくもない。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
俯し目になって、それだけをいい、どこか
泛
(
う
)
かない
姿態
(
しな
)
であった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姿態
(
しな
)
をくねらせて、彼女は救いを乞うような火の息を
喘
(
あえ
)
いだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“姿態”の意味
《名詞》
姿 態(したい)
ある動作をしたときの姿。
(出典:Wiktionary)
姿
常用漢字
小6
部首:⼥
9画
態
常用漢字
小5
部首:⼼
14画
“姿”で始まる語句
姿
姿勢
姿見
姿容
姿形
姿貌
姿見鏡
姿体
姿色
姿致