しな)” の例文
虫が来て此処へ留ったんです、すっとしなの弱い稲妻か、と思いました。目前に光ったんですから吃驚びっくりして、邪険に引払うと、う汽車が動出す。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渠等は、すっと来て通りしなに、従七位の神官の姿を見て、黙って、言い合せたように、音の無い草鞋をめた。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旅客りよきやくまゆあつするやままたやままゆおほはれたさまに、俯目ふしめたなさぐつたが、ふえとき角形かくがた革鞄かばん洋傘かうもり持添もちそへると、決然けつぜんとした態度たいどで、つか/\とりた。しなに、かへりみてかれ會釋ゑしやくした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)