しな)” の例文
けれども彼等はしなない。判決の変改は出来なくとも、その効果は或る方法によつては動かし得ないでもない。或方法……或方法……。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
晃 死ね、死ね、死ね、民のためにきさま死ね。見事に死んだら、俺も死んで、それから百合を渡してやる。死ね、しなないか。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「その上、金もふんだんにあるし、一流の作家だし、しななければならぬ理由が何処どこにあるんだ」
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
刀せえ出ればしななくッても宜いんだろう、己も乗り掛った船だ、殊に侍の姿を知ってるんだからお前と二人で方々詮議に歩こう、その刀は滅法にい刀だという事だから
殺し汚面々々をめ/\我而已われのみいき勘當かんだうゆるさるゝとも何のよろこびかあらん我も冥土めいど途連みちづれせんとて既に首をくゝるべきていなれば初瀬留も是を聞き其元のおこりは皆私し故なれば倶々とも/″\しなんと同じく細帶ほそおび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
既にその高品の心なる事を示し、追ひ払はれたる後に後悔の言葉、または末段の「虚言いつはりを云ふまじと、毎朝まいてう天道氏神を祈りしかども、若き者の悲しさは、只今非業にしなんとは思ひも寄らず」
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
私は死なうと云つた以前の戀人を思出す。今頃はどこに居て、何をして居るか。どうかして一度邂逅めぐりあひたい。何故私はあの時しななかつたのであらう。藝術は果して戀よりも美しかつたであらうか。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「おつるしなないんですねえ、母様かあさま
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
何うしてもおめえしななくッちゃアいけねえのか………じゃア仕方がねえ、金ずくで人の命は買えねえ、己も無くッちゃアならねえ金だが、お前に出会でっくわしたのが此方こっち災難せえなんだから
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
をられ或は腰骨こしぼね腋腹骨あばらぼね皆打折れて即死せしもあり適々たま/\未だしなざるも然も哀れ氣にうめさま心地こゝちよくこそ見えたりけれ後藤は是をかへりみてヤレ/\たはいもなき弱虫よわむしめら只一打にて逃散にげちつたりシテまだ死切しにきら奴輩やつばら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「お……おつるしなないんですねえ」
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
仕合とは何事ぞや當歳たうさいにてうみの母に死別しにわか七歳なゝつの年には父にさへしなれ師匠のめぐみ養育やういくせられ漸く成長はしたるなりかくはかなき身を仕合とは又何故にお前は其樣になげき給ふぞとたづねけるお三婆はおつる涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)