媚態しな)” の例文
ものうげな優美な媚態しなをして、あの華奢の腰をくねらせながら(あの可愛い、それと同時に憎むべき顔が眼に見えるようだ)
お吉は八五郎の枕元へ、浮世繪うきよゑの遊女のやうに、ペタリと坐り乍ら、片手はもうその夜具の襟に掛つて、精一杯の媚態しなを作り乍らゆすぶつて居りました。
「それにあなた商賣をした者は、年を老つても何となしにその癖が脱けませんですね、年寄りの癖にあの媚態しなが厭らしいつて、息子達が嫌ふんでございますよ」
古鏡 (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
人々ひとみを凝らして之を見れば、年齒としは十六七、精好せいがうの緋の袴ふみしだき、柳裏やなぎ五衣いつゝぎぬ打ち重ね、たけにも餘る緑の黒髮うしろにゆりかけたる樣は、舞子白拍子の媚態しなあるには似で
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
万平はやみの中に、あらん限りの媚態しなをつくして近寄って行った。
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お吉は八五郎の枕元へ、浮世絵の遊女のように、ペタリと坐りながら、片手はもうその夜具の襟に掛って、精一杯の媚態しなを作りながらゆすぶっておりました。
お柳の身体はまたクネクネと媚態しなを作ります。