柔軟やはらか)” の例文
吾は猶五形を殖やすべし、五形の枕は最も柔軟やはらかに頭ざはり善しと君ののたまひしかば。汝も金仙花をへらして蒲公英を増しては如何に。
花枕 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
その次には柔軟やはらかな、無論引きしまつた唇、その次には中程の下にきゆつとくぼみのあるしつかりした顎、無論黒色の顎髯が要る。
一概に田舍言葉と言ひますけれども、鄙びた言葉づかひが柔軟やはらかに働いて東京言葉では言ひ表はせないやうな微細な陰影かげまでも言ひ表はせるのが有ります。
と、とのさまはいま二合にがふで、大分だいぶ御機嫌ごきげん。ストンと、いや、ゆか柔軟やはらかいから、ストンでない、スポンとて、肱枕ひぢまくらで、阪地到來はんちたうらい芳酒うまざけゑひだけに、地唄ぢうたとやらを口誦くちずさむ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人通りの少い靜かな柳のかげで、雪袴ゆきばかまのやうなものを穿いた少年が柔軟やはらかな身體を種々に動かして見せた。兩足で首を挾む、さかさ蜻※返とんぼがへりする、自由自在にやりました。
きては深く柔軟やはらか
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)